新型コロナウイルス対策の「出口戦略」についての大阪府の解釈は勘違いだと政府が指摘した問題で、対策を担う西村康稔経済再生相と大阪府の吉村洋文知事がそれぞれのツイッターで「応酬」を繰り広げている。発言内容をたしなめた西村氏に対して吉村氏は陳謝しつつ、緊急事態宣言の解除基準を明確に示せない政府の姿勢に苦言も呈した。

 発端は、吉村氏が5日に休業と外出自粛要請について府独自の解除基準を「大阪モデル」として発表した際、政府に対して「具体的な基準を示さず、単に(宣言を)延長するのは無責任だ。具体的な指標を全国に示してもらいたい」と指摘したこと。吉村氏が大阪の基準を「出口戦略」と表現したことに対し、西村氏が「言い方が違う。緊急事態宣言からの『出口』ということなら、国が専門家の意見を聞いて考える話だ」とかみついた。

 おさまらない様子の西村氏は6日の記者会見でも「強い違和感を感じる」と吉村氏を批判。さらに同日夜、自身のツイッターで「休業の要請・解除は知事の裁量。解除する基準は当然ご自身の説明責任」と強調し、「都道府県の裁量・権限の拡大を主張しながら、自身の休業要請の解除の基準を国が示してくれというのは矛盾。仕組みを勘違いしているのではないか」と投稿した。宣言の解除の基準については、「国の責任。近く明確に示す方針」と記した。

 これに対して吉村氏は自身のツイッターで「休業要請の解除基準を国に示して欲しいという思いも意図もありません」と釈明。その上で「宣言(基本的対処方針含む)が全ての土台なので、延長するなら出口戦略も示して頂きたかった」と改めて指摘した。一方で、「今後は発信を気をつけます。ご迷惑おかけしました」とも書き込んだ。

 これを受け、西村氏は再びツイッターに投稿。「このウイルスを早く収束させたいとの思いは同じ。しっかりと連携して取り組みたい」と応じ、「国も解除に向けた基準など明確に示し説明責任を果たしていく」とした。(永田大)