プロ野球のパ・リーグ6球団が共同出資した「パシフィックリーグマーケティング(PLM)」が好調だ。売り上げは過去最高を更新し続け、生配信する試合映像の視聴者数は伸びている。当面の間、無観客で行われる今季、新型コロナウイルス感染拡大は配信事業にどのような影響を与えるのか。PLMメディア事業本部長の佐々木将之さん(46)に今後の展望を聞いた。

 ――2012年のサービス開始以降、配信事業「パーソル パ・リーグTV」への加入者はどのように増えていますか。

 「会員数は数万人で推移しています。18年からは『DAZN』、『RakutenTV』、『パ・リーグLIVE』といった外部のOTT(映像配信会社)にも映像を提供するようになり、4チャンネル合計の1試合平均視聴者数が直近、前年比で約2倍(1.85倍)の伸びとなりました」

 「PLMの役割は、『パーソル パ・リーグTV』の伸長だけでなく、OTT各社とも力を合わせて、インターネットを通じてプロ野球(パ・リーグ)の試合を見てもらう機会と文化を醸成することだと考えています。パ・リーグTVの特徴として、メイン視聴者層が20~30代であり、特に20代のエンゲージメント(関与)が増えています。一般的な球場来場者は40代がメインであることを考えると、従来はプロ野球に興味を持っていなかった若年層をさらに取り込める余地があると考えています」

――配信事業だからこそ提供できるサービスや強みは何でしょうか?

 「一つ目は視聴スタイルの自由度です。好きな時に、好きな場所で、好きなデバイスで視聴できることは強みだと考えています。二つ目はオンデマンド性です。3試合同時視聴、マルチアングル、実況のオンオフ、ハイライト映像、ヒーローインタビュー映像など個人の好みに合わせた視聴体験が可能です。三つ目は情報の拡散性です。インターネットサービスですので、当然ながら各種SNSとの親和性も高く、ユーザー起点でコンテンツの拡散が発生しやすいのも特徴です」

 ――PLMの19年12月期決算では、純利益1億5593万円と過去最高を更新しました。

 「主に動画配信サービス、スポンサー収入、人材紹介サービスの伸びが要因です。『パーソル パ・リーグTV』、公式メディア『パ・リーグ.com』の視聴数の増加に加え、他社への試合映像などのライセンス販売が増えました。6球団で販売をしているゲームスポンサー、球場内の看板広告など、販売代理店としての役割を強化し、それに伴う売り上げも増えています。スポーツ業界に特化した人材紹介エージェントサービス『PLMキャリア』での実績も好調です」

 ――プロ野球は当面の間、無観客での開催になります。「パーソル パ・リーグTV」への視聴者数に影響はありそうですか?

 「プラスとマイナスの両面があると考えています。リモートワークや、『巣ごもり需要』としての加入者、視聴者数の増加が予想されます。6月の練習試合の期間も、例年のオープン戦の時期と比べて視聴者数が好調でした。一方でマイナス面としては、試合数の削減などによるプロ野球自体に対する注目度の変化、無観客試合による試合価値の受け止められ方などは予想できない部分もあります」

 ――今後はプロ野球も「新しい観戦方式」が広がるかも知れません。