新型コロナウイルスの感染拡大で、ランニング時のマスク着用が急速に広がった。だが専門家から「かえって危険」との見解が出された。「マスクなしラン」は解禁なのか。

 日本臨床スポーツ医学会と日本臨床運動療法学会は1日、「屋外運動時のマスクや口鼻を覆うものの着用は、推奨しない」との共同声明を出した。熱中症や呼吸不全の危険があり、海外では死亡例もあることを踏まえた。新型コロナは「すれ違った程度では感染しないと言われている」とし、他人と距離をとること、更衣室などでは感染防止に注意することなどを前提に、ストレスや生活習慣病対策として運動を推奨する内容だ。

 これに先立ち世界保健機関(WHO)も6月、ツイッターで運動時のマスク着用を控えるべきだと表明。「重要なのは、他人から1メートルの距離をとることだ」とした。日本感染症学会なども一般向けに「ジョギング時のマスクは必ずしも必要ない」と提言した。

 専門家が「危険」とまで言うマスク着用は、なぜ広がったのか。関係者の多くが「二つの要因」を挙げる。

 一つは海外の研究者がランナーの吐く息の広がりをシミュレーションしたというCGだ。息が後続の人にべったり付着する様を示し、テレビも報じた。