■コロナQ&A(夏休みの過ごし方編) 回答:松本哲哉・国際医療福祉大主任教授(感染症学)

Q 旅行先のホテルや旅館で過ごすとき、注意すべき点はありますか。実家に帰省した時は何に気をつければいいでしょうか。

A ホテルや旅館では、もし前に泊まった人が感染していた場合、部屋には3日間ほどウイルスが付着している可能性があります。施設側が消毒をしてくれると思いますが、ドアノブやテレビのリモコンなどを触った後には、手を洗うことを心がけてください。

 食事の際はできれば真正面に向き合わないようにして、斜めに座る。食事中はマスクを着けられないので、飛沫(ひまつ)を飛ばさないように、会話は静かにしてもらいたいですね。温泉などの入浴はプールと同様に、それ自体はリスクではありません。

 実家や親類の家で過ごす際も、会話の時にはマスクをしたほうがいい。マスクの有る無しで飛沫の飛び方はまったく違うからです。特に高齢者がいる場合は、無症状の人がうつさないために配慮が必要です。

 ドアノブ、トイレやお風呂など室内の共用部分の消毒に気を使うのも大事ではありますが、手でウイルスに触れたとしても、それだけでは感染しません。部屋の中を消毒しているからと安心し、手まできれいだと誤解するのは怖い。手洗いをおろそかにしないようにしてください。

 日本全体を考えると、地域をまたぐ移動が増えるほど、感染者が増えることにつながってしまうのが現状です。出かけるとしても、しばらくは十分な注意が必要になるでしょう。

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 まつもと・てつや 国際医療福祉大主任教授(感染症学)。同大学病院での診療や、日本環境感染学会の副理事長として院内感染防止の指針作成にあたる。