河野太郎防衛相は9日夜のオンライン討論で「中国は日本にとって安全保障上の脅威となった」と述べた。政府は軍事的な台頭の著しい中国について「懸念」との位置づけにとどめており、河野氏の発言は防衛相として異例の踏み込んだ表現で中国を牽制(けんせい)した形だ。

 米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のイベントで発言した。河野氏は「外相時代は中国を脅威と呼ばず、重大な懸念と言ってきたが、防衛相としては脅威と言わなければいけない」と語った。

 政府は今年の防衛白書で「中国は、尖閣諸島周辺において力を背景とした一方的な現状変更の試みを執拗(しつよう)に継続しており、強く懸念される」と分析。2013年策定の国家安全保障戦略(NSS)では、北朝鮮を「脅威」と位置づける一方、中国は「懸念」との表現にとどめ、「期待」も併記している。政府が来年以降で検討するNSSの初改定では、中国をどう位置づけるかが焦点の一つとなっている。

 また河野氏は、衆院解散・総選挙の時期について「恐らく10月のどこかで行われる」と述べ、新政権の発足直後に実施されるとの見通しを示した。河野氏は自民党総裁選で優位に立つ菅義偉官房長官と近く、現職閣僚の発言として波紋を呼んでいる。(寺本大蔵)