香川県は5日、三豊市内の養鶏場の採卵鶏から鳥インフルエンザの陽性反応が確認されたと発表した。遺伝子検査の結果、感染力が強い高病原性(H5亜型)の疑いが強いことが判明。県はこの養鶏場の約33万羽を殺処分し、周辺を消毒する。家畜の鳥インフル感染は、2018年1月の香川県さぬき市の養鶏場での発生以来となる。

 県によると、この養鶏場では今月1日から通常の自然死より多く鶏が死に始めた。4日までに計約3800羽が死んだため、養鶏場は4日午後、県家畜保健衛生所に報告した。

 県は4日の簡易検査で検査対象となった13羽のうち11羽の陽性を確認。遺伝子検査の結果、5日に高病原性の疑いが強いこともわかった。高病原性の確定にはさらに数日かかるという。

 この養鶏場では、野鳥を侵入しにくくする対策を施した窓のない11の鶏舎で計33万羽の採卵鶏を飼育している。5日に殺処分を始め、敷地内に埋めるという。完了には10日ほどかかる見込み。

 県は5日朝、対策本部会議を開き、この養鶏場を中心に半径3キロ以内の養鶏場(26戸、約200万羽)について鶏や卵の移動制限、3~10キロ以内の養鶏場(89戸、約260万羽)に区域外への搬出制限を設定した。

 浜田恵造知事は「韓国や北海道で野鳥から(鳥インフルエンザウイルスが)確認されたのを受け、警戒段階を引き上げたばかりでの発生で大変残念に思う。防疫措置を迅速に完了させたい」と話した。殺処分の作業者を確保するため、自衛隊に災害派遣要請をした。

 農林水産省によると、ウイルスの詳しい型が確定するのは来週初めとなる見通しだが、短期間で大量に死んでいることから、「高病原性に間違いない」(動物衛生課)とみている。

 同省によると、ウイルスは渡り鳥が国内に持ち込む例が多いため冬季に発生しやすいが、11月5日の確認は過去最も早いという。

 同省は国内産すべての鶏肉や鶏卵の輸出を5日付で一時停止した。(石川友恵、大野正智、兼田徳幸)

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 〈鳥インフルエンザ〉ニワトリやアヒル、ウズラ、七面鳥などの鳥類が感染するインフルエンザ。症状が比較的軽い低病原性と、致死率の高い高病原性がある。国内で家畜の高病原性鳥インフルエンザが発生したのは、18年1月に香川県さぬき市の養鶏場で確認されて以来。海外では、感染した鳥との密接接触による人への感染例が報告されているが、日本ではない。鶏卵や鶏肉を食べて感染した例は国内では報告されていない。