JR名古屋駅の南側に南北400メートルにわたってつらなる巨大なビルが現れる――。そんな再開発計画に、新型コロナウイルスが「待った」をかけた。事業を担う名古屋鉄道は10日、規模を縮小することも視野に計画を見直すことを発表した。

 巨大ビルの構想は2017年に名鉄が発表した。約2万8千平方メートルに点在する計6棟を取り壊し、一つの建物に再編。名古屋駅南側を東西に走る大通り「太閤通」の上空部分もつなげ、高さ160~180メートルの巨大な壁のようなビルが完成する予定だった。

 計画では22年度に工事に着手し、リニア中央新幹線の品川―名古屋間が開業するはずだった27年度の完成を予定。改札やホームの位置などがわかりにくく、ときに名駅ならぬ「迷駅(めいえき)」とも揶揄(やゆ)される地下部分の名鉄名古屋駅や近鉄名古屋駅も再整備するとしていた。

 ところが新型コロナウイルスで計画は練り直すことになった。

 10日会見した名鉄の安藤隆司社長は「従来は駅中心に商業、オフィス、ホテルが集積していく前提だったが、社会が大きく変化している」と説明。今後、24年度をめどに新たな方向性を決めるという。これまで22年度としてきた着工については当面見送る。