中東カタールと断交していた周辺のアラブ4カ国は5日、国交を回復することで合意した。サウジアラビア北西部の都市ウラーで開かれた湾岸協力会議(GCC)首脳会合で合意文書に署名した。カタールとの間で自由な移動や経済活動も認め、イランへの接近などを理由に約3年半続いた経済封鎖は解消される。

 関係を正常化するのはサウジ、アラブ首長国連邦、バーレーン、エジプトの4カ国。首脳会合で議長を務めたサウジのムハンマド皇太子は演説で「我々はいまイランの核開発に象徴される地域の脅威に対抗するために結束を必要としている」と和解の必要性を強調した。カタールからはトップのタミム首長が出席して自ら署名。和解を仲介したトランプ米大統領の娘婿クシュナー上級顧問も出席した。ムハンマド皇太子は米国とクウェートによる仲裁に謝意を伝えた。

 19ページ、120項目に及ぶ合意文書には「テロ団体への資金供与を絶つこと」「国家のプライバシーを尊重すること」などが盛り込まれた。サウジなどは2017年6月に断交に踏み切った際、カタールによるイラン接近のほか、「テロ組織」とサウジなどがみなすイスラム主義団体「ムスリム同胞団」への資金援助、カタールの衛星放送局アルジャジーラによるサウジなどへの批判的な報道も理由に挙げていた。

 首脳会合に先立ち、ムハンマド皇太子はウラーの空港で各国の代表を出迎え、タミム首長とは抱擁を交わした。前日にはサウジがカタール国境の封鎖を解き、両国間の陸路や空路、海上交通を再開させており、歴史的和解を演出した。