見る人に元気を届けたい――。手段は違っても、同じ志を持つアスリートとアイドルが語り合った。卓球の東京オリンピック(五輪)代表、平野美宇(20)と、アイドルグループ「乃木坂46」の賀喜(かき)遥香(19)。体調管理の方法や目標との向き合い方……。緊張がつきまとう舞台で日々戦う2人の胸のうちとは。

 〈平野は卓球界屈指のアイドル好き。なかでも賀喜は、いま一番推しているメンバー(推しメン)だ〉

 平野 (乃木坂46の曲)「I see...」が印象的で。普段はしっかりしているイメージが強いです。

 賀喜 テレビで卓球の試合に出ている姿を家族と見て、「かっこいいね。何歳なんだろうねー」と。すごく年が近いということにめちゃくちゃ驚いて、「私も頑張らないとな」という話を家でしていました。

 〈試合と舞台。多くの目にさらされる2人にとって、緊張は共通する課題だ〉

 賀喜 (五輪は)私じゃ想像できないような世界。「プレッシャーがすごいんだろうな」って見てて思います。私、ものすごく緊張に弱いので、メンタルの面でもすごくカッコイイなと思います。

 平野 曲を聴いて落ち着いたり、深呼吸で息を整えたりすることが多いんですけど、(アイドルも)緊張する場面が多くないですか?

 賀喜 多いです。汗が止まらないんですよ、全身から。(グループ内で)一番弱いかも。私も音楽を聴いたり、深呼吸を心がけたりしています。「深呼吸、いいですよ」って言われてはいるけど、緊張すると忘れてしまうんですよ。

 〈1人で戦うこともあれば、仲間とともに舞台に臨むこともある〉

 賀喜 グループでお仕事をする時は、チームプレー感があって、トークも支え合っているなと感じます。1人でのお仕事となると「乃木坂46」の看板を背負っているので、「グループにふさわしい立ち振る舞いをしないと」って謎の緊張感が押し寄せてきます。だからこそ、しっかりしないとってシャキッとします。

 平野 私はシングルスではライバルだけど、団体やダブルスになるとチーム。「さっきまで戦っていた相手だけど、今は仲間」ということが多いので、その切り替えは難しい時もあるんです。試合が始まったらライバル、終わったら普通の関係。その切り替えは、意識していますね。

 〈アスリートとアイドル。力になるはずのファンの後押しを、コロナ禍の中で感じるのは難しい〉