新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、救急患者の搬送困難が起きている問題で、保健所の業務多忙が救急現場の圧迫の一因になっている。新型コロナ患者の受け入れ先探しや搬送作業は保健所が担うが、患者の急増で手が回らなくなっているためだ。千葉市では搬送先が決まらず、救急車が6時間以上立ち往生するケースも出ている。(重政紀元)

■「保健所も手が回らなくなってきている」

 千葉市消防局によると、救急の搬送悪化が進んだ年明け以降で最も受け入れに時間がかかったのは10日にあった6時間7分。患者は新型コロナ陽性者と確認された50代の男性だった。近所の人の目を避けるため、救急車を患者宅から遠ざけて待機させたという。

 新型コロナ患者の搬送先の医療機関探しや搬送は感染症法上、保健所が担当する。しかし、市保健所によると、患者が急増し始めた12月から、救急隊への代行の要請をしているという。

 昨春から17日までの要請は113件。年末までは搬送だけだったが、年明けから患者の悪化に備えて、受け入れ先が決まっていないのに出動を求められるケースが出始め、救急隊も受け入れの照会の電話をしているという。市保健所の担当者は「医療機関の不足に加え、保健所も手が回らなくなっている」と話す。

 市消防局で1~17日行った搬送のうち、最難航事例に分類している10回以上の照会を要したのは69件。うち4件が新型コロナ陽性者の搬送で、6時間超に続く2時間51分も同様のケースだった。