東京五輪出場が内定している矢沢亜季選手(29)=長野県飯田市出身=らカヌーのスラローム日本代表チームが、大分県豊後大野市で強化合宿中だ。矢沢選手は2016年からほぼ毎年、同市で練習しており、昨秋からは市のふるさと大使も務めている。今回は同じ内定組の羽根田卓也選手(33)と佐藤彩乃選手(24)らとともに、2月末まで技術を磨く。

 拠点は同市の大野川を活用したリバーパーク犬飼。08年の国体で使用された際、現・強化専任コーチの山中修司さん(38)が環境を気に入り、指導を受ける矢沢選手も16年から訪れるようになった。「水位が安定していてゲートなども常備されている、練習に最適なコース」と矢沢選手。

 日本代表はこの時期、例年は海外で合宿するが、今年は新型コロナ禍で豪州キャンプを断念。国内の練習地として豊後大野を選び、1日にキャンプインした。

 スラロームは急流に設けられたゲートを通過しタイムを競う競技。パドルの形や搭乗の姿勢でカヤックとカナディアンに分かれる。

 矢沢選手は女子カヤックシングル、羽根田選手は男子カナディアンシングル、佐藤選手は女子カナディアンシングルで五輪出場が内定。昨年のNHK杯全日本カヌースラローム競技大会を制した男子カナディアンシングルの佐々木将汰選手(28)と女子カナディアンシングルの三島廉選手(23)も参加している。

 羽根田選手は「(近隣にトレーニング施設もあり)オールインワンになっている場所はなかなかない」と気に入った様子。今回は交流イベントなどは中止になったが、「ここでなら子どもたちにカヌー体験をしてもらい、その中から有望な選手を育てることができる。将来的には自分も尽力したい」と話した。佐藤選手も「いい流れがあり、練習に向いている場所。今回の合宿でレベルアップして頑張りたい」と意気込む。

 矢沢選手は、「他の選手と刺激しあって、いい練習ができている。五輪が開催されることになったら、ここでつけた力でしっかりとしたパフォーマンスを見せたい」と語った。

 リバーパーク犬飼での練習時間は、豊後大野市がホームページに予定を随時掲載中。選手には近づけないが、見学はできる。(寿柳聡)