奈良県葛城市の当麻寺で25日、ニホンミツバチが巣くっていた仁王像の修復作業が報道陣に公開された。仁王門に二つある像高約340センチの阿形(あぎょう)像と吽形(うんぎょう)像の木像のうち、阿形像の頭部にミツバチが約30年前から巣をつくっているといい、玉眼の汚損や顔部分の変色などの影響が出ていた。

 二つの像は江戸時代の作とされる同市指定文化財だが、経年劣化が進んでいる。今年度から市の補助事業として5年かけて、像の修復が行われる。

 この日の作業では像の頭部を分離させ、慎重に門の外に運び出した。寺によると、約5千~1万匹のミツバチが暮らしているという。作業中、多くのミツバチが鳴らす「ブーン、ブーン」という大量の羽音が現場に響いていた。

 寺は仁王門に、「ニホンミツバチがいます お静かにお通りください よほど刺激しないかぎり 刺すことはありません」と案内文を張って注意を呼びかけてきた。ミツバチのこれまでのすみかはなくなるが、寺は今後も保護に努める。境内の巣箱など別の場所で暮らしてくれることを期待している。(清水謙司)