国立感染症研究所が新型コロナウイルスワクチンの有効性を調査した結果、ワクチンをうった人はうっていない人に対し、発症率を9割程度減らせる可能性があることが分かったと発表した。海外と似たデータが国内でも確認できた。一方、ワクチン2回接種後でも陽性になる例もあり、「ワクチン接種者でも感染対策を継続することが重要」としている。

 1日にあった厚生労働省の専門家組織の会合で示した。調査は今年6~7月、東京都内の5医療機関を受診した発熱などの症状がある1130人を対象に実施。ワクチン接種歴などを聞き取り、検査をして陽性と陰性の割合を比べた。インフルエンザワクチンなどの有効性を調べる際に一般的に使われる手法だという。

 その結果、ワクチンを接種しない場合よりも、1回目の接種後14日以降から2回目接種後13日まででは、新型コロナの検査で陽性になる発症率を7割程度、2回目の接種後14日以降で9割程度減らす効果があると推測できた。また、1回目接種後13日までではワクチンの有効性は期待できなかった。2回目接種後14日以降でも1人の陽性例があった。

 米ファイザー社や米モデルナ社による海外での臨床試験では、それぞれのワクチンは偽薬をうった人よりも約9割発症を予防できるという結果が出ている。感染研の鈴木基・感染症疫学センター長は、条件が異なるため、「有効性は必ずしも一致しない」としながら、「近い値と言える」と話している。(市野塊)