コロナ禍でのイベントや飲食、旅行などの制限緩和に、ワクチン接種証明や陰性証明を活用する「ワクチンパスポート」の議論が本格化している。しかし、一足先に導入した海外では反発も起きた。経済立て直しの切り札になるのか。不利益や差別につながる恐れはないか。

■野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英さん「接種証明で経済押し上げ効果」

 ――ワクチン接種証明書を海外渡航だけでなく、国内でも利用するべきだと考えますか。

 「国内でも積極的に活用すべきだと思っています。仮に政府が旗を振らなくても、民間ベースで広がっていくでしょう。現に飲食店などでは、入店の条件にはしないまでも、接種証明があれば割引や優遇をするなどの利用がスタートしています」

 ――国内利用にどんなメリットがあるのでしょうか。

 「一つは感染対策です。感染リスクの高い場所では、接種証明の提示を必須にすることで、感染拡大を抑える。経済を多少なりとも支える効果も期待できます。接種証明を入店やイベント参加の条件にすることで、感染を抑えながら経済活動を元に戻していくことができます」

 「ワクチン接種を促すメリットもあるでしょう。ワクチン接種が先行した欧米でも、ある段階で接種率は頭打ちになっています。日本も近いうちにその課題に直面するはずです。接種証明が様々なところで利用されるようになれば、未接種者の背中を押す効果はあると思います」

 ――政府として積極的に推進すべきでしょうか。