香港の民主活動家、ロンドンに滞在と明かす 国安法から逃れ

Nathan Law, seen here in Hong Kong

画像提供, Getty Images

香港の民主化活動家の羅冠聰(ネイサン・ロー)氏が13日、ロンドンに滞在していることを明らかにした。羅氏は、中国による「香港国家安全維持法」(国安法)の導入直後に海外に脱出したと話していた。

羅氏はツイッターに、「夜行便に乗った(中略)行き先はロンドンです」と書き込んだ。現在は「小さなアパート」に住み、すでにジャーナリストの取材に応じたという。

一方、イギリスに到着したのがいつかは語っていない。羅氏は2日に香港から離れたと述べており、約10日ぶりに居場所を明らかにした。

羅氏は2014年の民主化デモ「雨傘運動」を主導し、収監された経験を持つ。2016年には、著名な民主化活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏と民主化を求める政党・香港衆志(デモシスト)を立ち上げ、党首を務めていた。

しかし、中国政府が6月30日に国安法を施行した直後、デモシストは解散を発表している。

国安法では、国家からの離脱、転覆行為、テロリズム、香港に介入する外国勢力との結託といった犯罪を犯した場合、最低3年、最高で無期懲役が科される。

民主派の活動家らは、この法律が香港の「一国二制度」で認められた高度な自治や市民の自由、権利を侵害しているとしている。

一方中国政府は、昨年6月から香港で連日続いた反政府デモのような活動を止めるため、国安法の必要性を主張している。

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羅氏はソーシャルメディアへの投稿で、「さまざまな不確定要素」に直面したが、「政治的な混乱を前に」香港を離れることを決めたと説明した。

「私たちは次の抗議活動、次の出廷がそのまま禁錮刑につながるかどうかも分からない状況だ」

また、自分で自分を「危険」にさらしているため、「リスクを最低限に抑えるために居場所などは明らかにしない」と語った。

フェイスブックへの投稿では、ロンドンへ向かう機内からの写真と共に、「私たちはばらばらになっていない。逆に、次の困難な戦いに向けて十分な準備ができている」と香港市民に語りかけた。

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羅氏は7月初め、BBCの取材に対し、今後も海外から支援活動を継続するつもりだと話し、香港市民は諦めていないと語った。

1日には、ビデオリンクを通じて米下院外交委公聴会で証言。中国政府に収監されるのを恐れており、香港に戻るのが心配だと述べた。

「こうした状況で香港市民の苦難について話すだけで、新しい国安法に違反している」

「私が愛している街で多くのものが失われた。真実を語る自由すらも」

国安法、その内容は?

香港は1997年にイギリスから中国に返還されたが、その際に香港の憲法ともいえる「香港特別行政区基本法」と「一国二制度」という独自のシステムが取り入れられた。返還から50年は、中国のその他の地域では認められていない集会の自由や表現の自由、独立した司法、一部の民主的権利などが保護される。

しかし国安法によって、中国政府による抗議活動の取り締まりや自治権の縮小が容易となった。

国安法では、反逆や扇動、破壊行為、外国勢力との結託などを禁止され、違反者には最高で無期懲役が科される。

また、以下のような内容が含まれている。

  • 中国政府や香港自治政府への「憎悪表現」を違法とする
  • 非公開裁判や容疑者への盗聴を認める。容疑者は中国で裁判にかけられる可能性がある
  • 公共交通機関の破壊などをテロリズムに指定できる
  • 警察はインターネット・プロバイダーに対しデータ開示を請求できる

さらに、香港に永住権を持たない人や、香港「以外の出身者」にもこの法律は適用される。