英イングランドが2度目のロックダウンへ 12月2日まで

Boris Johnson at the despatch box

画像提供, Jessica Taylor/UK Parliament

イギリス議会は4日夜、イングランドで4週間のロックダウンを行うことを516対36の賛成多数で可決した。最大野党・労働党が賛成に回った一方、与党・保守党から34人の造反が出た。

ロックダウンは5日から始まり、12月2日に終了する。12月2日以降は、10月に導入した3段階の新型コロナウイルス警報を再導入し、地域ごとの対策に切り替える方針だ。

イングランドは感染の第1波に見舞われていた3月末から5月初めまでロックダウンを実施していた。その後は制限を緩和していたものの、再び感染が拡大した。

ボリス・ジョンソン首相は、2度目となるロックダウンは新型ウイルスの「感染拡大を抑え込む」ために必要だと説明。これに対し、造反した保守党議員は生活や企業活動が破壊されると警告した。

イギリスでは4日、COVID-19と診断されてから28日以内に亡くなった人が492人に上り、5月に500人超を記録して以降で最多となった。これまでの死者の総数は4万7742人に上っている。

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ロックダウンにより、イングランドでは12月2日まで、パブやレストランはテイクアウト営業だけが許可される。一方でスポーツジムや美容院、各種サロン、生活用品以外の店舗は休業となる。

在宅勤務が推奨されるが、オフィスでしかできない仕事、建設や製造業などについては、営業が許可される。ただし、感染リスクが高い人が在宅勤務ができない場合は、職場に行くべきではないとされた。

また、学校や保育施設、大学は授業を継続するものの、学生寮に住む学生は学期末まで親の家に戻ってはいけない。

このほか、健康上の理由、食料品などの買い物、他者の看護・介護などを除く外出は禁止された。

屋外での運動は2人まで

屋内や庭では他世帯の人と会うことは許されないが、屋外の公共の場では他世帯の1人と会うことができる。一人暮らしの人などが自宅と別の1世帯で作る「サポート・バブル(支援の安全圏)」においても、引き続き会うことができる。

さらに、子育て世帯や中毒症状からの回復でケアが必要な人にも例外が設けられている。介護施設では、天井から床までのスクリーンがある部屋や、窓越し、屋外などであれば、家族の訪問が許可される。

屋外での運動は推奨されるが、最大2人まで。チームスポーツは禁止される。プールやゴルフコース、テニスやバスケットボールのコートといったスポーツ施設は全て閉鎖となる。

婚姻やシヴィル・パートナーシップの挙式は禁止される一方、葬儀には最大30人まで参列できる。

「最も安全な道」

3時間にわたる審議の中でジョンソン首相は、2度目のロックダウンは「誰も望んでいなかった」ものの、「国民の命をリスクにさらすことはしたくない」と説明した。

「生活や自由、企業活動に制限をかけることに心が痛むが、これがイングランドにとって最善で最も安全な道だと確信している」

その上で、ロックダウンは自動的に12月2日に終わり、クリスマスに向けて「進むことができるだろう」と話した。

「しかしそのためには我々全員が対策に取り組み、実効生産数(R)を下げないといけない」

マット・ハンコック保健相も、「今は平時ではない」と、ロックダウンの必要性を強調した。

労働党のキア・スターマー党首は政府のロックダウン案を支持するに当たり、「与野党共に重い気持ちでこの政策に賛同している」と話した。

一方で、この4週間で、3段階の警報システム「よりも良い対策」を考案するよう求めた。

スターマー党首は先に、ジョンソン首相が9月に「サーキット・ブレーカー」と呼ばれる短期間のロックダウンを行わなかったことを非難している。

動画説明, 短期的なロックダウン「サーキットブレーカー」とは? 1分で解説

3段階の警報システムについては、テリーザ・メイ前首相をはじめとする保守党議員や、イングランド北西部選出の労働党議員も批判を重ねた。

保守党では今回、重鎮のサー・イアン・ダンカン・スミスなど34人が反対票を投じたほか、メイ氏を含む19議員が棄権した。

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