アメリカ、早ければ12月にもワクチン提供開始 新型コロナウイルス

画像提供, EPA/BIONTECH

アメリカでは、早ければ12月11日から新型コロナウイルスのワクチンが提供される見通しだ。米政府のワクチン開発計画の科学主任、モンセフ・スラウイ博士が22日、明らかにした。

米ファイザー製薬と独ビオンテックは20日、開発中のワクチンの緊急使用に向けた申請を食品医薬品局(FDA)に提出。FDAのワクチン委員会は12月10日に認可の是非を決める予定だ。

これについてCNNに出演したスラウイ博士は、認可から「24時間以内にワクチンを接種拠点へ運ぶ」計画だと説明した。

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ファイザーとビオンテックのワクチンは2回接種が必要だが、臨床試験では95%の有効性が示された。両社は年末までに5000万回分を提供したいとしている。

アメリカでは、州ごとに人口に応じて供給量が決められる。スラウイ博士によると、ワクチンを受ける優先順位を決めるのは各州に委ねられるが、医療従事者や高齢者など感染リスクの高い人を優先するよう推奨されている。

モデルナも開発中のワクチンが95%近い有効性を示したと発表しており、こちらも数週間以内の認可取得を目指している。

なお日本政府は、ファイザーとビオンテックからは1億2000万回分を、モデルナからは5000万回分のワクチンの供給を受けることでそれぞれ合意している。

「真の集団免疫」

スラウイ博士はこれらのワクチンの有効性から、アメリカの人口の70%がワクチンを受けることで来年5月には「真の集団免疫」を獲得できるだろうと話した。

一方で、「ワクチンに対する否定的な考えが減り、ワクチンを受け入れる人が増えることを本当に願っているし、心待ちにしている。それが我々を助ける重要な点になるだろう。通常の生活に戻るためには、ほとんどの人が免疫をつける必要がある」と強調した。

米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ博士はCBSニュースに対し、十分な人口がワクチンを接種すれば、アメリカは来年には「かなり早く」集団免疫の状態に達するだろうと語った。

どちらのワクチンも臨床試験の最終的なデータは公表されていないが、開発各社は深刻な安全性への懸念は出ていないとしている。

ワクチンの効果がどれくらい続くのか、人から人への感染を防げるのかなどはまだ分かっていない。

アメリカでは現在、新型ウイルスの感染が大きく広がっている。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、感染者数も死者数も世界最多で、これまでに120万人が感染、25万6000人以上が亡くなっている。

米疾病対策センター(CDC)は、感謝祭(サンクスギビング、26日)の休暇を利用した移動を控えるよう国民に求めている。一部の州はマスク着用を義務付けたり、行動制限を強化したりしている。カリフォルニア州では夜間外出禁止令が始まった。