中国の医師、違法に臓器摘出し有罪判決 交通事故の被害者など標的に

Scalpel and kidney dish (generic posed image)
画像説明, 中国では臓器売買の活発な闇市場が存在するとされる(イメージ図)

交通事故の被害者から違法に臓器を摘出していたとして、中国で医師ら6人が収監された。地元メディアが伝えた。

報道によると、医師4人を含むグループは、亡くなった人々の遺族をだまし、正式な臓器提供をすると思い込ませた。

2017年から翌年にかけ、中国東部・安徽省の懐遠県人民医院で、11人から肝臓や腎臓を摘出したという。

中国は移植用の臓器の需要が高く、公的な臓器提供だけでは大幅に不足している。

交通事故の被害者ら狙い

報道によれば、関与した医師らは病院幹部で、臓器の手配を担当していた。

交通事故の被害者や、脳出血に見舞われた患者を狙っていたという。

同医院の集中治療部門を統括していた医師が患者の家族に接近し、臓器提供に同意するか尋ねた。家族はのちに偽と判明した同意文書に署名していた。

医師らはその後、亡くなった人を真夜中に病院から搬出し、救急車に似せたバン型の車両に移動した。医師らは車内で臓器を摘出したという。

臓器は、グループのメンバーがひそかに接触した個人や病院に販売されたという。

母親の臓器提供への疑念から

違法な臓器摘出が発覚したのは、ある被害者の息子が疑いをもったためだった。

2018年に母親を亡くしたその息子は、数カ月後に臓器提供に同意した際の書類を改めて確認したところ、空欄があるなど不自然な点を発見したという。

息子はその後、地元当局にも、北京の臓器提供を統括するセンターにも、母親の記録がないことを発見。

臓器提供をもちかけてきた医師に問いただすと、医師は「口止め」のため、多額の金額を提示してきたという。

「そのとき、何かおかしいことが起きていると確信した」と息子は地元メディアに語った。

息子はすぐに当局に通報したという。

死刑執行後の摘出は中止

臓器売買グループの医師ら6人は、7月に「死体を意図的に破壊した」罪で有罪判決を受けた。

今回、息子がメディアに語ったことで、事件が表面化した。

中国では長年、臓器の需要に応えるため、死刑が執行された囚人から臓器を摘出していた。この慣行は各国から批判された。

2015年になって、中国は正式にこうした臓器摘出を中止。だが当局は当時、現場に徹底させるのは難しいと述べていた。

中国は現在、全国的な臓器バンクへの臓器提供に頼っている。

近年、中国のドナー率は上昇し、100万人あたり4.4人になっている。ただ、スペインは100万人あたり49人となっているなど、国際的にはまだかなり低い。

BBCは2015年、オンラインで臓器売買の「商談」がなされる中国の闇市場について報告した