【米大統領選2020】 ペンシルヴェニア州の連邦高裁、トランプ陣営の訴え棄却

Donald Trump speaks to reporters at the White House

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画像説明, 選挙に勝ったのは自分だと記者団に繰り返すトランプ氏(26日、ホワイトハウス)

米大統領選の投開票で不正があったとドナルド・トランプ米大統領が主張し、各地で裁判を起こしている問題で、ペンシルヴェニア連邦高裁は27日、トランプ陣営は具体的な不正の申し立てや証拠を提示していないと、訴えを棄却した。トランプ陣営は、連邦最高裁に上訴する意向を示した。

ペンシルヴェニア州フィラデルフィアにある第3巡回区連邦控訴裁の判事3人は、同州の数百万票を無効にするよう求めたトランプ陣営の訴えを退けた。 判事3人はいずれも共和党の大統領に指名され就任しており、そのうち1人はトランプ氏が指名した。

トランプ氏の指名で就任したステファノス・ビバス判事は、「自由で公平な選挙はこの国の民主主義の命に不可欠だ。不公正があったという訴えは深刻なものだ。しかし、選挙に不正があったと言うだけでは、不正があったことにはならない」と指摘。

「主張するからには、具体的な申し立てと、そして証拠が必要だ。しかし、ここにはそのどちらもない」と、判決理由に書いた。

この判決を受けて、トランプ弁護団のジェナ・エリス弁護士は、「SCOTUS(合衆国最高裁)へ!」とツイートした。

高裁判断の前には同州の連邦地裁判事(共和党員)が、同じトランプ陣営の訴えを「法的根拠のない、無理のある法的主張や憶測」を法廷に提示し、「証拠の裏づけも提示しなかった」と、厳しく批判し棄却していた。

この地裁判決を機に、選挙人20人を擁する同州はジョー・バイデン次期大統領が同州で勝ったことを正式に認定。複数の共和党関係者も、トランプ氏に政権移行手続きの開始を促すようになった。また、トランプ政権で政権移行手続きの開始を担当する部署の責任者も、この開始を認めると判断。トランプ氏もこれを容認した。

トランプ氏は26日には、選挙人団(定数538人)がバイデン氏を選べば、ホワイトハウスを去ることに同意するのかと記者団から問われ、「もちろんそうする」と答えた。各州の選挙人は通常、大統領選の結果に沿って、大統領候補に投票する。今月3日の選挙の結果バイデン氏は選挙人538人中306人の票を獲得する見通しになっている。

ただしトランプ氏は、勝ったのは自分だという主張は続けている。

27日にもツイッターで「巨大な不正」があったと根拠を示すことなく書き、「バイデンが大統領としてホワイトハウス入りするには、ばかげた『8000万票』を、不正や違法行為で得たわけじゃないと証明してからだ」と力説した。

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トランプ陣営やトランプ氏の支持者は、各地で投票の無効や不正を主張して訴訟を重ねているが、敗訴や訴訟取り下げが続いている。

選挙人団の投票は12月14日で、各州は12月8日までに開票結果を最終的に確定し、認定する必要がある。

選挙人団の投票結果は、来年1月6日に連邦議会が上下両院合同本会議で開票する。

動画説明, 【米大統領選2020】 再選を逃した現職大統領がホワイトハウスを去った時

アメリカの大統領選では、敗れた候補が負けを認めるのが慣習となっている。

ただし、これは法的な必須条件ではないため、トランプ氏が敗北を認めなくても、選挙人団の投票でバイデン氏が270票以上を獲得すれば、バイデン氏が来年1月20日に第46代合衆国大統領に就任する。