米国務長官、中国はウイグル族を「集団虐殺」と非難

Chinese police officer outside what is formally known as a "vocational educational facility" in Xinjiang, China (file pic)

画像提供, Reuters

画像説明, 中国政府はウイグル族を収容している施設について職業訓練所だとしている

アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は19日、中国がウイグル族など主にイスラム教徒を抑圧する中で、ジェノサイド(集団虐殺)を犯したとする声明を発表した。

ジョー・バイデン氏から新政権の国務長官に指名されているアントニー・ブリンケン氏も、こうした見解への同意を表明した。

人権団体は、中国が過去数年間に「再教育施設」と呼ぶ場所に、最大100万人のウイグルを拘束していると訴えている。

BBCは調査報道で、ウイグルの強制労働が行われていると伝えている。

アメリカと中国の緊張関係は、ドナルド・トランプ政権下でより鮮明になった。その影響は、通商から新型コロナウイルスの問題まで広範に及んだ。

ポンペオ氏の声明

ポンペオ氏は「このジェノサイドは続いており、中国の一党制がウイグル族を組織的に絶滅させようとしているのを、私たちは目の当たりにしていると信じている」と声明で述べた

20日に任期が終わるトランプ政権の閣僚であるポンペオ氏にとって、この日は最後の執務日となった。

同氏の声明は中国に圧力をかける一方、新たなペナルティを自動的に発動させるものではない。

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ブリンケン氏は同意

バイデン氏に国務長官に指名されたブリンケン氏は19日、議会上院の指名承認の公聴会に臨んだ。

ポンペオ氏の声明に同意するか問われると、ブリンケン氏は「私の判断もそうなる」と答えた。

バイデン氏の政策チームは昨年8月、ウイグル族が「中国の独裁的な政府による筆舌に尽くしがたい抑圧」に苦しんでいるとし、今回のポンペオ氏の声明と同様の見方を示していた。

バイデン新政権は20日、発足する。

新疆ウイグル自治区の状況

中国政府は、約1100万人のウイグル族の多くが暮らす新疆ウイグル自治区で、分離主義、テロリズム、過激主義の「3つの邪悪な勢力」と闘っていると説明。そのために、同自治区で「訓練プログラム」が必要だとしている。

新疆ウイグル自治区には近年、中国で多数派の漢族が大挙して移住している。1990年代以降は漢族への反感と、分離独立の気運が高まっており、暴力行為につながる事態も散発している。

人権団体などは、中国政府がイスラム教徒に豚肉を食べることや飲酒を強制し、ウイグル文化の消滅を図っているとしている。

動画説明, 中国の「思想改革」収容所 「犯罪予備軍」を教化

トランプ政権は先週、新疆ウイグル自治区からの、綿花やトマトを使った製品の輸入を禁止した。同自治区では世界の綿花の20%近くが生産されていると、アメリカは推定している。

中国政府に対しては、新疆ウイグル自治区の綿花産業で特に、収容所を利用して強制労働を進めていると広く批判されている。

BBCは2019年の調査報道で、同自治区の子どもらが、イスラム教徒のコミュニティーからの分離を目的に、組織的に親から引き離されている模様を伝えた

最近の調査では、ウイグル族の女性が不妊手術を強制されている状況が明らかになっている。

中国は不妊手術の強制はしていないと主張している。