米テキサス州、マスク着用義務を解除へ 10日に商業活動も全面再開

Greg Abbott (file picture)

画像提供, Reuters

画像説明, 新型コロナウイルス対策の措置をめぐり、身内の共和党内から批判を受けていたテキサス州のアボット知事

米テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は2日、州内の新型コロナウイルス対策について、10日にもマスク着用義務を解除し、商業活動を全面的に再開すると発表した。「今こそテキサス州を100%開く時だ」としている。

アボット州知事はこの日、同州ラボックの商工会議所での演説で、新型ウイルス対策の制限措置を解除すると明らかにした。

「あまりに多くのテキサス州民が雇用の機会を奪われている」とアボット氏は述べた。「あまりに多くの小規模事業者が経費の支払いに苦労している。こんなことは終わらせなければならない」。

そして、予防接種の実施件数が増加し、新型ウイルス感染症COVID-19の治療法が改善されていることから、同州は「今、はるかに良い状態にある」とした。

アボット氏は「新型ウイルスは突然消えるわけではない」としつつ、「州政府の命令はもはや必要ではない」と述べた。

アボット氏の新たな知事令は、同氏がこれまでに出した新型ウイルス危機に関連する知事令のほとんどを無効とするもので、3月10日に発効される予定。

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テキサス州はマスク着用義務をやめるアメリカ最大の州となる。アボット氏は昨年7月に導入されたこの制限措置をめぐり、身内の共和党内からの批判にさらされてきた。

しかし1月に発足した民主党のジョー・バイデン政権は、新型ウイルスを抑え込むには依然として制限措置が必要だと明確にしている。

テキサス州ではこれまでに4万3000人以上が新型ウイルスにより死亡している。これは米国内で3番目に多い数だ。

ほかの米州の状況は

アメリカの州はそれぞれ、公衆衛生政策を担っている。新型ウイルスのパンデミックが始まった当初、ほとんどの州は商業活動や移動を制限した。

約35の州では公共の場でのマスク着用を求めているが、マスク着用義務の実施にはばらつきがある。

ここ数週間で感染者数と死亡者数が急激に減少していることから、一部の州は制限措置を緩和し始めている。

アボット氏の発表直後、ミシシッピ州のテート・リーヴス知事は、より短期間で同様の対応を取ると述べた。

「明日から全ての郡でマスク着用義務が解除され、州からいかなるルールも課されずに商業活動が全面的に再開できるようになる」

保健の専門家たちは、パンデミックが収束するには程遠く、制限措置があまりに早期に解除されれば感染者数が再び増加するかもしれないと警告している。

バイデン米大統領は、前任のドナルド・トランプ氏とは対照的に、新型ウイルスとの闘いを政権の最優先事項に掲げている。

バイデン大統領は2日、アメリカは5月末までに国内の成人全員分のワクチンを十分確保するため、順調に準備を進めていると述べた。

新型ウイルスがアメリカに与えた影響

  • 米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、アメリカではこれまでに約2870万人の感染が確認されている。これは感染者数が2番目に多いインド(約1100万人)や3番目に多いブラジル(約1050万人)の2倍以上だ
  • 一方で、人口10万人あたりの死者数は、イギリスやイタリアなどに続いて9番目に多い
  • 米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)は6月1日までに、さらに少なくとも9万人が死亡すると予測している。5月下旬までには1日あたり約500人が死亡するとしている。現在の1日の死者数は約2000人で、これを下回ることになる
  • 入院率は1月から急激に減少している
  • 変異株の増加がさらなるアウトブレイクを引き起こす可能性があり、依然として懸念されている