デンマーク政府、アメリカに協力しメルケル氏など欧州首脳を偵察=報道

German Chancellor Angela Merkel uses her mobile phone before a meeting at a European Union summit in Brussels, 9 December 2011

画像提供, Reuters

画像説明, 米国家安全保障局(NSA)はメルケル独首相など欧州諸国の首脳を偵察していたという。写真は2011年12月のメルケル氏

デンマークの放送局は30日、同国の情報機関は米国家安全保障局(NSA)に協力し、アンゲラ・メルケル独首相などの偵察を支援していたと報道した。メルケル首相に対するスパイ活動は2012-2014年の間、行われていたという。

デンマーク・ラジオによると、デンマーク情報機関(FE)はNSAと協力し、ドイツ、フランス、スウェーデン、ノルウェー各国の政府首脳について、情報を集めていた。

同様の指摘は2013年にも浮上していた。米中央情報局(CIA)の元請負職員で、NSAによる情報収集活動の実態を暴露したエドワード・スノーデン氏は当時、NSAがメルケル首相の電話を盗聴していると主張した。スノーデン氏は暴露後にロシアに亡命し、現在は定住している。

ホワイトハウスは当時、メルケル氏の電話は現在盗聴していないし、今後も盗聴しないと表明していた。

ドイツはアメリカと密接な関係にある同盟国。

今回のデンマーク・ラジオの報道によると、NSAはFEの協力を得て、デンマークのインターネット・ケーブルを盗聴し、複数の政府高官のテキストメールや電話音声を入手したという。

「ドゥンハマー」(植物のガマの意味)作戦と呼ばれたこの盗聴活動によって、NSAは政治家の電話番号を検索することで情報を入手することができたと、デンマーク・ラジオは伝えている。

同放送局の調査報道では、FEが保持する機密情報を見ることのできる9人に取材し、情報源としている。

メルケル首相のほか、当時のドイツ外相だったフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー氏や、当時のドイツ野党党首だったペール・シュタインブルック氏も盗聴の対象だったという。

デンマーク国防省もFEも、報道内容についてコメントしていない。

報道を受けてスノーデン氏はジョー・バイデン米大統領が「当初もこのスキャンダルに深く関わっていた」と批判した。バイデン氏は、欧州首脳への盗聴活動が行われていたとされる期間、オバマ政権の副大統領だった。

スノーデン氏はツイッターで、「デンマークからだけでなく、上位のパートナーからも、完全な情報公開を明確に要求すべきだ」と書いた。

スノーデン氏は2013年に、NSAがインターネットや電話の盗聴を通じて様々な情報を得ていると暴露。米政府はこれに対してスノーデン氏を、政府資産を盗み国防情報を許可なく公表した、機密情報を意図的に公表したなどの罪で起訴した。

スノーデン氏によるこの暴露以前、複数の米情報機関の幹部はNSAは決して意図して、個人的な通話内容からデータを集めたりしていないと、公の場で主張していた。