北朝鮮の核武装解除「唯一の方法」は地上軍侵攻=米統合参謀本部

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画像説明, 9月19日に韓国・抱川で行われた大量破壊兵器除去訓練「ウォリアー・ストライク」に参加した米兵たち

米国防総省は、北朝鮮の核兵器開発計画を完全に破壊するには、地上軍による侵攻が唯一の方法だという検討結果を明らかにした。

北朝鮮と戦争した場合の予測について尋ねたテッド・リュウ下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)に答える書簡で、マイケル・デュモント海軍少将が統合参謀本部を代表して、見解を示した。リュウ議員が4日に公表した。

デュモント少将は、犠牲者の数の予測は「最もおおざっぱな」検討でさえ、非常に困難だと述べる一方、北朝鮮に対して開戦した場合、最初の数時間について予想される展開を説明した。

「『北朝鮮の核兵器開発計画の全要素について、完全な確信をもって位置を特定し、破壊する』、唯一の方法は、地上軍による侵攻です」と少将は答えた。

予想されるリスクには、米軍が「深く埋まっている地下施設」を無効化しようとする間に、北朝鮮が核兵器で反撃する危険性も含まれるという。

開戦による犠牲者の規模は、軍事境界線から56キロにある韓国の首都ソウルがどの程度の攻撃を受けるか、そして米軍と同盟各国がどれだけ前もって北朝鮮による攻撃を察知していたかによるという。

統合参謀本部はさらに、北朝鮮が生物化学兵器を使用するのではないかと懸念を示した。北朝鮮は化学兵器の放棄にこれまで合意していない。

北朝鮮は「(化学兵器を)備蓄していると思われる」と、デュモント少将は書いている。

「さらに詳細な内容を話すには、機密扱いの説明の場が最適です」と少将は付け加えた。

少将は書簡の冒頭で、統合参謀本部としては北朝鮮に対する軍事行動よりも経済的・外交的な解決を支持すると明示している。

統合参謀本部は、軍事行動について大統領に直接助言する。

空軍予備役大佐でもあるリュウ議員は、他の軍出身の議員数十人と共に共同の公開書簡で、統合参謀本部の検討結果は「非常に懸念される」とコメント。実際に戦争となれば、「戦闘開始からわずか数日の間に、数十万人ないしは数百万人が死亡する結果になり得る」と指摘した。

「(統合参謀本部の)評価は、ずっと前から分かっていたことを裏付けるものだ。北朝鮮に対して、良い軍事オプションなどない」と議員たちは強調している。

ドナルド・トランプ米大統領は今年9月の国連総会で、米国が「自分や同盟諸国を防衛するしかない状況になれば、我々は北朝鮮を完全に破壊するしか、選択の余地はない」と演説している。

アジア5カ国を歴訪中のトランプ氏が、北朝鮮情勢を日本や韓国、中国などとの主要議題にするのは必至とされる。その情勢でリュウ議員たちは合同声明で、「大統領は、外交オプションを妨害し米軍部隊をこれまで以上に危険にさらす、挑発的な発言をやめなくてはならない」と呼びかけた。

今回の統合参謀本部の分析に先駆けて、無党派の米連邦議会調査局(CRS)は10月31日、禁止兵器を使わないごく短期間の紛争でさえ、数万人の犠牲者につながるはずだと報告を発表している。