欧州大寒波 「東からの獣」に凍る

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画像説明, イタリア南部ナポリ近郊のポンペイ遺跡も雪に覆われた(27日)

欧州が大寒波に襲われている。寒気は最も南で地中海沿岸まで到達し、広い範囲で積雪が見られた。26日以降、ポーランドで5人、ルーマニアで2人、計7人の死者が報告されている。

英国では「東からの獣(the Beast from the East)」とあだ名された今回の寒気は、欧州一帯に凍てつく風をもたらし、気温は場所によって零下30度にまで下がった。

AFP通信によると、この4日間の死者数は少なくとも計24人。多くは都市部の路上生活者だという。そのうち、3人はフランス、もう3人はチェコ、1人はイタリアの路上生活者だった。

各地の地元当局が緊急避難所を開放し、ホームレスの対応に当たった。

赤十字国際委員会(ICRC)は、危ない状態にある隣人がいないかどうか様子を見てほしいと呼びかけた。

「ご近所の玄関をノックして、必要なものはそろっているか確認するだけで状況は大きく変わる。生死を分けることもある」と、サイモン・ミシリICRC欧州局長は話した。

赤十字の緊急援助隊は各地に避難所を設け、欧州一帯の数千人に温かい食事と毛布を配布しているという。

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画像説明, ローマのコロッセオでは26日、6年ぶりに雪が積もった

ポーランドの警察によると、気温が低下した26日には5人が死亡した。警察は、高齢で体が弱い人、あるいは泥酔した人が、雪の中で転倒したら手助けをするように呼び掛けた。

ルーマニアでは27日、さらに2人が死亡した。ロイター通信によると、1人は雪の中で倒れていた83歳女性で、もう1人は65歳男性だった。

ルーマニアの警察によると、数十に及ぶ道路が閉鎖され、100本近くの列車が運休した。

27日には、イタリア南部ナポリ郊外の古代都市ポンペイの発掘現場で積雪が見られた。ポンペイ周辺の2月の平均気温は6~14度。ナポリでは数十年ぶりに大雪が降った。

寒波は26日、ローマにも直撃し、6年ぶりの積雪となった。

一方でドイツ気象局は、同国最高峰ツークシュピッツェの気温が零下30度を記録し、ドイツ国内のほとんどで最低気温が零下10度を大きく下回ったと発表した。

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画像説明, ドイツ北東部キルヒドルフ港では、船が氷で動けなくなった(27日)

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画像説明, イタリア中部カザーリアも27日、大雪に見舞われた

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画像説明, 大雪の後に放置された車やトラック(27日、スウェーデン・ヘブ)

寒波は今週後半まで続く見通し。

BBC天気によると、大西洋から低気圧が接近し、大雪に続いて雨になり、フランスとスペイン北部を直撃する。

欧州北部では身を切るような寒波が続く予想、1日までには英国とアイルランドでさらに雪が降る見通し。

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