息子を「ダークネット」の小児性愛者に売った男女に禁錮刑 ドイツ

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カップルが起こした性的搾取事件が、ドイツに衝撃を与えている(法的理由で顔はぼかされている)

息子を「ダークネット」(通常のブラウザではアクセスできないインターネット空間)の小児性愛者に売春目的で売った罪で、ドイツ南部フライブルクの裁判所は7日、母親(48)とパートナーの男性(39)に禁錮刑を言い渡した。

裁判所は、母親に禁錮12年半を科したほか、少年の義父にあたる男にも禁錮12年を言い渡した。少年は裁判が始まった今年6月時点で9歳だった。

ドイツ国籍の男女は自分たちも少なくとも2年間、少年を性的に虐待していた。

裁判所は6日にも、この少年を買って繰り返し性的虐待を加えていた罪で、スペイン国籍の男に10年の禁錮刑を科している。他に5人の男が、少年への性的虐待に関与した罪で起訴されている。

ダークネットは、主要な検索エンジンでは到達できないインターネット空間を指す。

少年の母親と義父は、強姦、子供に対する重度の性暴力、強制売春、児童ポルノ流通の罪を問われた。裁判所は両被告に対して禁錮刑に加え、少年と、同様に性的虐待を受けた3歳少女への損害賠償として計4万2500ユーロ(約550万円)の支払いも命じた。

少年は現在、里親と共に暮らしている。

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両被告(左と中央)。ドイツの厳格なプライバシー法によって、全員の顔が隠されている

現在10歳の少年に起きた出来事はベテラン捜査員にも衝撃を与えたと、ベルリンで取材するBBCのジェニー・ヒル特派員は話す。

検察によると、少年は深刻な性的攻撃を60回以上受けたという。その多くは録画されていた。

この事件に、ドイツの大勢が衝撃を受けている。母親のパートナーが過去に有罪判決を受けた小児性愛者だと当局は知っていたにも関わらず、少年を助ける機会を逸していただけに、ショックは大きいとヒル特派員は説明する。

裁判官は7日、少年に対する特に残酷な性的虐待行為は、母親によるものだったとは最も残酷な性的攻撃の1つを実行したと述べた。

時には当局者が、女性は自分の子供を虐待する能力を持たないと間違った仮定をする可能性があるとの懸念も、この裁判は引き起こしている。

当局に批判も

男女による息子への虐待を止めるのに失敗していたことに対し、バーデン・ビュルテンベルク州の児童福祉当局に激しい批判が集まっていると独メディアは報じている。

少年はソーシャルワーカーにより男女の元から一時引き離されたが、後に男女の元に戻された。

独ニュース週刊誌シュピーゲルのウェブサイトは、福祉担当者はこの問題について情報交換をしておらず、それが男女による犯罪につながった可能性があると伝えている。

シュピーゲルによると、母親は子供を虐待した当時、パートナーの言いなりだったと弁明しているが、事件担当の精神科医、ハルトムート・プライネス氏は、母親のこの弁明は虚偽だと受け止めている。

2カ月続いた公判中、母親は自分の行動について説明しなかったが、パートナーの男はさかんに発言していたとシュピーゲルは報じた。