アメリカで初の新型コロナウイルスによる死者確認 ワシントン州
米政府は29日、新型コロナウイルスによる国内初の死者を確認したと発表した。北西部ワシントン州に住む50代の男性で、基礎疾患があったという。
ワシントン州の健康当局は同日、ワシントン州キング郡に住む50代男性が死亡したと確認した。集団感染が起きている地域には渡航していないという。
ドナルド・トランプ米大統領が当初、この男性について「素晴らしい女性」と呼んだことから、混乱が生じていた。
ワシントン州のジェイ・インスリー知事は、州内で感染が拡大していることから、非常事態を宣言した。
トランプ大統領は、国内の感染拡大は「あり得る」と認めつつ、国民にパニックに陥らないよう呼びかけた。
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世界保健機関(WHO)によると29日現在、50カ国以上で8万5000人以上の新型コロナウイルス感染が確認され、3000人近くが死亡した。大多数は大流行(アウトブレイク)の発端となった中国で確認されているが、中国外の感染者も6000人を超え、90人近くが死亡した。アメリカの感染者は現在62人。
米西岸で渡航歴ない感染増える
米西岸部のカリフォルニア、オレゴン、ワシントン各州の医療関係者は、集団感染が起きている外国の地域への渡航歴がなく、渡航した人と接触した形跡もない人たちの感染が相次いでいると、懸念を示していた。
ワシントン州当局は29日、長期療養施設で集団感染が起きた可能性を調査していると明らかにした。
同州キング郡と同郡にあるシアトルの医療担当、ジェフリー・ドゥチン医師は、カークランド・ライフケア・センターで70代女性入居者と医療従事者1人が感染したようだと発表。この施設では、入居者27人と従業員25人が「なんらかの症状」を示しているという。
医療当局は、新型ウイルスに陽性反応を示す人は今後増えるとみている。
この日アメリカ国内で死者が確認される前には、アメリカ人が1人、ウイルスが最初に確認された中国・武漢で死亡している。
トランプ氏は何と
「外国でアウトブレイクが起きた初期から、私の政権はこの病気の拡大に取り組むため、現代の歴史で最も積極的な対応をとってきた」と、トランプ大統領は話した。
さらに、「この国はあらゆる状況についても、備えている。パニックに陥る理由は何もない」と強調した。
また、健康な人は「全快するはずだ」と述べた。
政府の新型コロナウイルス対策トップに任命されたマイク・ペンス副大統領は、中国以外ではイラン、韓国、イタリアで感染が拡大している事態を受け、イランへの渡航制限を拡大。過去14日の間にイランを訪れた外国人のアメリカ入国を禁止するという。
さらに、集団感染が起きているイタリアや韓国の地域への渡航を避けるよう国民に勧告した。
ペンス氏は、イランと韓国からアメリカを訪れる旅行者の検査態勢を調整するため、連邦政府として地元当局との連携を進めていると話した。
フランスも規制強化
フランス政府はこれに先立ち、5000人以上が集まる屋内集会をすべて禁止すると発表した。
政府は緊急閣議後に感染拡大防止の様々な施策を発表。1日にパリで予定されていたハーフ・マラソン大会も中止された。
特に感染者の多いパリ北郊では、公の場での全ての集会が禁止された。パリで毎年開かれる農産物品評会も、最終日3月1日の日程が中止になった。
フランスでは29日に感染者数が100人に達した。これまでに2人が死亡している。
29日の閣議後にオリヴィエ・ヴェラン保健相は、「現段階の目標は拡大を制限することだ」と述べた。
政府は、感染が拡大している地域の住民に「不要不急の移動」を控え、「可能ならば在宅勤務するよう」呼びかけている。
その他の動き
- 中国以外で最も感染者の多い韓国では、集団感染が起きている大邱の消毒に陸軍を動員した
- 欧州で最も感染者の多いイタリア(感染者650人、死者17人)では、プロサッカー・セリエAの5試合が延期された。当初は観客試合を予定していたが、セリエAが29日に延期を発表した
- イランは29日、感染者が593人に達し、43人が死亡したと明らかにした
- カタールで初の感染者が確認された。国営メディアによると、イランから避難した39歳のカタール人女性が陽性と判定された
- エクアドルも初の感染者を確認した
- 英イングランドでは新たに3人の感染が確認され、同国の感染者は計23人になった
- ブラジルでは2人目の感染を確認。最近イタリアに渡航した男性という
- 防疫措置を続ける中国では、2月中の工場操業水準が大幅に下落。米航空宇宙局(NASA)によると、大気中の二酸化窒素量が大幅に減っており、これはアウトブレイクで中国国内の経済活動が失速したことと「少なくとも部分的」に関係しているとみられるという
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