イタリア北部、行動制限強化 屋外での運動や自販機使用も禁止

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画像説明, イタリア北部での新しい規制は、青空市場や建築現場での作業、屋外での個別の運動なども禁止した

新型コロナウイルスによる被害が集中しているイタリア北部ロンバルディア州は21日夜、市民生活への厳しい行動制限を追加し、屋外での運動や自動販売機の使用などを禁止すると発表した。屋外での運動は単独行動のものも禁止された。

イタリアでは21日だけで約800人が死亡。確認されているこれまでの死者数は世界最多の4825人に達した。このうちロンバルディア州では3095人の死亡が報告されている。

ロンバルディア州のアッティリオ・フォンタナ知事は追加規制を声明を発表し、事業主にはサプライチェーンに関わる「不可欠」なもの以外の操業を停止するよう要請。病院や道路や鉄道を除く工事現場の作業も中止される。

州内各地で曜日ごとに開かれる青空市場も全て中止された。

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ロンバルディア州では3月8日以来、外出禁止令など行動制限が実施されており、政府はその効果を期待していた。

イタリア政府のジュゼッペ・コンテ首相は21日、国内全土で「不可欠ではない」事業の停止を命令した。ただし、どの業種が「不可欠」なのかは特定しなかった。

スーパーや薬局、郵便局、金融機関は業務を続ける。公共交通機関も運行を続ける。

コンテ首相は国民へのテレビ演説で、「この国の生産エンジンの速度を緩めるが、停止させはしない」と述べた。

首相はさらに、現状を「この国にとって戦後で最も厳しい危機だ」と呼んだ。

イタリアは北部地域に続き今月10日から行動制限を実施しているが、確認される感染者と死者の数は増え続けている。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、日本時間22日午後の時点で新型ウイルスによる世界の死者は1万3000人超。感染者は30万人を超えた。一方で、9万人以上が回復している。

他地域では何が起きている

スペイン保健省は、死者が32%急増し、1326人に達したと明らかにした。欧州ではイタリアに次ぐ2番目の人数となる。

ペドロ・サンチェス首相は21日夜の記者会見で、「最悪の事態はまだこれから」だと警告し、「とても厳しい日々が待ち受けている」と国民に覚悟を求めた。

政府は全国民約4600万人に対して、外出禁止を命令。不可欠の仕事、食べ物の買い出し、医療上の理由、あるいは犬の散歩のためのみ、外出が認められる。

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画像説明, パリでは21日夜、医療従事者を称えるため、エッフェル塔が10分間ライトアップされた

スペインではさらに、サッカー1部リーグのレアル・マドリードのロレンソ・サンス元会長が21日、76歳で亡くなった。新型コロナウイルスに感染していたという。

サンス氏は1995年から2000年まで会長で、1998年には32年ぶりにヨーロッパチャンピオンズリーグ優勝を実現した。

国民への外出禁止令など行動制限が各国で広がるなか、多くの政府要人が市民に、ルールに従うよう呼びかけている。

動画説明, 「社会的距離」戦略とはどういうこと? ウイルス感染対策

イギリスではボリス・ジョンソン首相が、感染拡大のペースを落とすよう市民が協力しなければ、国民保健サービス(NHS)の医療機関は「パンクしてしまう」と警告。「国を挙げた英雄的な取り組み」に参加し、「社会的距離」戦略に沿って他人との不要の接触を避け、感染防止に尽力するよう求めた。

感染を避けようとイギリス各地から大勢がキャンピングカーでスコットランドのハイランド地方に押し寄せているという報告を受け、英スコットランドの経済観光担当大臣ファーガス・ユーイング氏は、ハイランド地方への移動を控えるよう呼びかけた。

フランスのオリヴィエ・ヴェラン保健相は、他人との距離を保つよう呼びかける指示にあえて違反する人たちを「危険」で「無責任」だと強く非難した。フランスでは1万2500人以上の感染が確認され、21日までに562人の死亡が記録された。

感染者が短期間で加速度的に増えて1万人以上になった米ニューヨーク州でも21日から、不可欠の事業以外は従業員の自宅待機を命じるなど厳しい行動制限が実施されている。アンドリュー・クオモ州知事は記者会見で、一部の若者が、大勢で集まらないようにという命令を無視していると非難。

「これは公衆衛生の問題で、他人の健康も自分の健康も、危険にさらしてはならない」と知事は述べた。

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