IOC委員、東京五輪は「2021年に延期決まった」 米紙に発言

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画像説明, 東京五輪は7月24日から8月9日までの日程で予定されている

国際オリンピック委員会(IOC)のディック・パウンド委員は23日、米紙USAトゥデイのインタビューで、2020年東京オリンピックを2021年に延期することで決定したと述べた。

これに先立ち、たとえ今年7月に東京五輪が予定通り開催されても、カナダ、オーストラリア、イギリス各国の五輪委が選手団を派遣しない方針を示していた。

IOC委員を長年務めるカナダ人のパウンド氏は、同紙に対し、「IOCが持ち合わせている情報をもとに、東京五輪の延期が決定した」、「今後の進め方はまだ決まっていないが、東京五輪が7月24日に開幕しないのは確かだ」と述べた。

国際オリンピック委員会(IOC)は22日、理事会を開いた後、東京五輪の延期を検討しており、4週間以内に結論を出すとの声明を発表していた。しかし、パウンド氏は、延期決定について間もなく発表があるとしている。

「発表は段階的に行う(中略)我々は東京五輪を延期し、それに伴うあらゆる影響への対応を始めるだろう。影響は計り知れない」

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IOCはこれまで公式には、東京五輪の延期については「シナリオ」の1つであって、中止は「議題になっていない」が、「規模を縮小した」五輪を検討するとしている。

「カナダやオーストラリアに続く」

オーストラリアとカナダのオリンピック委員会は、すでに今夏の東京五輪への不参加を表明していた。

英オリンピック委員会(BOA)会長のサー・ヒュー・ロバートソンも23日、選手団を派遣する可能性は低いとし、イギリスが「オーストラリアとカナダに「間もなく続く」ことになるだろうと述べた。

7月開催は「現実的でも望ましくもない」

世界陸連会長のコー男爵(セバスチャン・コー氏)は22日、IOCのトーマス・バッハ会長に、新型コロナウイルスの危機的状況に見舞われる中、7月開催は「現実的でも望ましくもない」とする書簡を送った。

この中で、コー氏は、「誰も五輪の延期は望んでいないが、私が公言しているように、我々は選手たちの安全という代償を払ってまで、是が非でも大会を開催することはできない。(中略)五輪開催をめぐる決定は、非常に明白に、非常に迅速に行われなければならない。そうする時がきていると思う」と述べた。

安倍首相が延期に言及

日本政府の安倍晋三首相は23日に国会で、東京五輪の延期の可能性について初めて言及した。

「仮にそれ(完全な形での東京五輪の実施)が困難な場合には、アスリートのことを第一に考え、延期の判断も行わざるを得ないと考えている」

日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は23日、記者団に対し、東京五輪の延期について「アスリートの安全が確保できないのであればそういう方向も検討が必要だ」と述べた。

また、仮に延期となった場合については、「延期の期間が長くなれば選手たちにとっては選考のやり直しなどが出てくるかもしれないし、この夏にピークを合わせてきた選手やこの大会が最後と考えている選手もいる。どんな期間になっても苦渋の決断になる」と述べた。