著名人のセクハラ疑惑続出 ダスティン・ホフマン氏も

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画像説明, 米俳優のダスティン・ホフマン氏(左)とケビン・スペイシー氏(右)が性的な問題行為をとっていたと非難されている

米映画界をはじめ各界で性的嫌がらせの被害が相次いで公表されるなか、2人のアカデミー賞受賞俳優にハリウッドの映画監督、米公共ラジオの編集幹部などの著名人も性、非難の対象になっている。

米俳優のケビン・スペイシー氏と、ダスティン・ホフマン氏は性的不品行を非難され、謝罪した。

スペイシー氏の代理人は1日、スペイシー氏が「診察と治療に必要な猶予時間をとっている。現在はほかに情報はない」と米メディアに短いコメントを発表した。

このほか女性6人が、「ラッシュアワー」シリーズや「X-MEN : ファイナル・ディシジョン」の監督を務めたブレット・ラトナー氏(48)を性的嫌がらせあるいは性的不品行で非難した。

ラトナー氏の弁護士は、疑惑を「全面的に」否定した。

著名人による性的嫌がらせの指摘が、この数週間でさらに増えている。

複数の女性がハリウッドの大物映画プロデューサー、ハービー・ワインスティーン氏の性的加害行動を公表したのを機に、「#metoo(私も)」のハッシュタグで性的嫌がらせ被害者へ体験を共有するよう促す運動が広まった。その後、疑惑の暴露が続いている。

では、これまでに誰が非難の対象になっているのか。

ケビン・スペイシー氏

最初にケビン・スペイシー氏を名指しして過去の問題行為を暴露したのは、米俳優アンソニー・ラップ氏だった。その後も別の映画関係者が、スペイシー氏の問題行動について名乗りを挙げている。

米映画監督のトニー・モンタナ氏は2003年、ロサンゼルスの「コロネット・バー」でスペイシー氏に体をまさぐられたと主張している。スペイシー氏が「股間を無理やり掴んだ」ことで、モンタナ氏はその後6カ月間心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったと話している。

モンタナ氏は米芸能ニュースサイト「レーダー・オンライン」に対し、これは自分が30代の時のことだと話した。

それより前にはラップ氏が14歳のとき、スペイシー氏が性的関係に持ちかけられたと明らかにしている。

スペイシー氏はその時のやり取りは記憶にないが、ラップ氏の主張を知って、「愕然としたどころではない」とコメントを出した。

スペイシー氏の問題行動は、同氏がロンドンのオールド・ビック劇場の芸術監督を務めていた2004年~2015年にもあったと考えられている。

オールド・ビック劇場で複数の舞台に出演したメキシコ人俳優ロベルト・カバソス氏は、スペイシー氏が若い男性俳優たちを「日常的に狙っていた」と話している。

ある男性はBBCに対し、自分が10代だった1980年代にニューヨークでスペイシー氏と週末を過ごすために招かれた経験を話した。

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画像説明, ブレット・ラトナー氏は大ヒット映画を複数制作した

ブレット・ラトナー氏

ハリウッド映画プロデューサーのブレット・ラトナー氏による性的嫌がらせあるいは性的不品行を、6人の女性が名指しで非難した。

ドラマ「ニュースルーム」など出演の米女優オリビア・ムン氏たちが、米紙ロサンゼルス・タイムスに自分たちの被害を公表した。

「スピーシーズ 種の起源」などに出演したカナダ人女優ナターシャ・ヘンストリッジ氏(43)は10代のころ、ラトナー氏に性行為を強要されたと話している。

ラトナー氏はニューヨークのアパートから当時19歳のモデルだったヘントリッジ氏を出さないようにして、性行為を強要したという。

ヘントリッジ氏は同紙に対し、「本気に力ずくで、無理やり関係をもたされた」と語った。

ラトナー氏の弁護士は、記事の内容を「全面的に」否定した。

ダスティン・ホフマン氏

アカデミー賞受賞俳優のダスティン・ホフマン氏は、1985年の出演映画の撮影現場で、インターンに性的嫌がらせをしたと非難されている。

作家のアナ・グレアム・ハンターさんは当時17歳で、ホフマン氏に触られた上、セックスに関する不適切な発言をされたと、米誌「ハリウッド・リポーター」に話た。

「あからさまに私に色目を使って、私のお尻を触ったり、セックスの話を私の目の前で、あるいは私に向かってしてきたり」

ホフマン氏は謝罪し、もし自分が「彼女を不快な状態に追い込んだなら」申し訳ない、と話した。

同誌宛ての声明でホフマン氏は、「私は女性に最大限の敬意を抱いている。自分がしたかもしれない行動で彼女を不快な状態に追い込んだなら、最悪な気持ちだ。申し訳ない。それは本来の自分らしい行動ではない」と謝罪した。

ホフマン氏のコメントを求めるため、BBCは同氏の代理人に連絡を取っている。

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画像説明, 米公共ラジオの編集幹部マイケル・オレスクス氏は、複数の同僚女性に同意なくキスしたとの告発を受けて辞任した

マイケル・オレスクス氏

米国の公共放送ラジオNPRの上級編集長、マイケル・オレクスク氏(63)は、会議中にいきなり勝手にキスされたと複数の同僚女性から暴露され、辞任した。

女性たちの指摘を受けてNPRは、オレクスク氏に辞任を求めた。同氏はこれまで、AP通信やニューヨーク・タイムズなどを経て、NPRの上級編集長に就任していた。

女性2人は匿名を条件に米紙ワシントン・ポストに対して、会議中に突然、思いもよらずにキスされたと話したという。女性らは、自分たちの名前が公表されれば、今後のキャリアに影響すると心配していたという。

女性の1人によると、ニューヨーク・タイムズで働きたいと希望してオレクスク氏に会ったところ、ホテルでルームサービスの昼食を取ろうとオレクスク氏が提案した。突然キスしてきて「舌を口に入れてきた」と話した。

オレクスク氏はこの件について公の場で発言していない。NPRは同氏にコメントを求めているが、連絡が取れていないと報じている。