【米大統領選2020】 投票について拡散されたうわさを検証

リアリティーチェック・チーム、BBCニュース

Pennsylvania election worker with ballots

画像提供, Getty Images

画像説明, 郵送された票を手にするペンシルヴェニアの開票所スタッフ

米大統領選の行方は、接戦を続ける残る数州の結果で決まる情勢となった。この間、「不正投票があった」と主張する様々なうわさがインターネットを飛び交っている。そのいくつかを検証する。

ドナルド・トランプ大統領は5日夜にホワイトハウスで、「合法的な票を数えれば自分の勝ちだ」として、選挙で数々の不正が行われていると具体的な根拠を示すことなく述べた。

勝利には選挙人270人が必要な状況で、民主党のジョー・バイデン副大統領が日本時間6日午前までに253人を獲得している。

期日前投票や郵便投票の多くがバイデン氏を支持する状況の中で、大統領のほかにも、その息子たちやトランプ陣営は、今回の選挙の正当性そのものを否定するうわさを広めている。

そのいくつかを検証した。

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死人は投票していない

接戦となったミシガン州で死人が投票していた、というツイッターの投稿が拡散。トランプ支持者が唱える「投票不正」の主張に油を注いだ。

ミシガン州当局はこれに反論。うわさは「間違った情報」だとし、死人による投票は受け付けていないと説明した。

下のツイッターでは、「118歳の『ウィリアム・ブラッドリー』がミシガン州ウェイン郡で不在者投票した。ウィリアム・ブラッドリーは1984年に死んだ。こんなとがいつまで続くのか?」という投稿に対し、州当局が「これは間違った情報です。死去した人の投票はミシガンでは受け付けていません。不在者投票を済ませ、投票日前に亡くなった場合も受け付けていません」と説明している。

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拡散されたツイートには、不在者投票をした人の中に、1900年代初頭に生まれ、すでに死去した人たちがいるのを確認したというものもあった。

だが、ウェブサイト・ポリティファクトによると、死去した父親と同じ名前、同じ住所だったことから、死人が投票したと間違えられたケースがあった。

ミシガン州当局はポリティファクトに、息子の票が誤って父親の票とされたと述べた。

この他にも、「死人投票」の主張はいくつか見つかる。ただほとんどのケースは、同じ名前の家族だったり、オンラインの有権者登録で自分のデータが見当たらない場合はダミーの生年月日を入力するよう指示されていたりしたことが、原因となっている。

死人が投票しているといううわさは、トランプ氏の息子ドナルド・ジュニア氏ら、影響力のある人たちも拡散した。

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ミシガン州の票数の地図は間違い

投票日3日夜のミシガン州の開票状況を示す地図が、ソーシャルメディアで広く拡散された。バイデン氏の得票数が一気に約13万票増え、トランプ氏には増えていないかのように見える。

不正があったのではと思わせるこの画像を、トランプ大統領もツイートした。

Misleading Michigan voting map
画像説明, ミシガン州の開票状況を示すこの地図は誤解を招く

開票中に各地の選挙管理委員会が、開票済みの票数を一気に追加するのは通常のことだ。

しかし、この時点での集計結果に、なぜトランプ氏の票が増えていないのかを疑問視する声が、ソーシャルメディアで上がった。

答えは簡単。入力エラーだ。このミスは後に訂正されている。

この地図を作成した選挙監視ウエブサイト「Decision Desk」は、「州が作成して我々が取り込んだファイルに、単純なミスがあった(中略)州はミスに気づき、集計を更新した」と説明している。

Ballot challengers trying to get into a count in Detroit, Michigan

画像提供, Getty Images

画像説明, ミシガン州デトロイトの開票所に押し入ろうとする人たち

「Decision Desk」の広報担当は、「こういうことは投票日の夜にありがちなことで、ミシガン州の開票を集計していたほかの人たちも同じミスを経験し、我々と同じようにリアルタイムで修正したはずだ」と述べた。

この件をめぐり不正選挙の疑念を唱えるツイートについて、ツイッター社は「選挙や他の市民行事への参加方法について誤解を招いている可能性があります」と警告を表示している。

トランプ氏がリツイートしたツイートを投稿したマット・マコウィアク氏は後に、自分のもとのツイートを削除し謝罪した。「このツイートは、(スクリーンショットを)誠実にとって共有したものだ。後になって、ミシガン州の更新内容はひとつの郡の誤入力を反映していたと分かった。元のツイートを削除しました」と書いている。

しかし、この画像はその後も広く拡散されている。

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4日未明には右派陰謀論「Qアノン」の支持者や、オンラインで影響力のある保守派ユーザーがこの地図を広く拡散した。

BBCがミシガン選挙管理委員会に問い合わせたところ、データの正誤についてコメントはしないと答えると同時に、この時点での結果は「非公式」で最終結果ではないと述べた。

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ウィスコンシン州で登録有権者の人数より投票数が多かったという事実はない

ウィスコンシン州で登録されている有権者の人数より、投票数が多かったという主張が広く共有されている。

「速報:ウィスコンシンでは登録された有権者より投票の数が多い。登録有権者の総数: 3,129,000。総投票数:3,239,920。これは直接的な不正の証拠だ」というツイートが出回った。

False tweet about voting in Wisconsin

しかし、この登録有権者の人数は古いデータだ。11月1日時点の最新人数は、368万4726人だった。

ツイートそのものは削除されたが、フェイスブックやツイッターではいまだにツイートのスクリーンショットが広く共有されている。

今回の選挙でウィスコンシンの投票率は、以前よりかなり高くなっている。

同州は投票日当日の有権者登録を認めているため、実際の人数は11月1日の人数からさらに増えている可能性もある。

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「サインペン」票はアリゾナ州で有効

激戦州アリゾナ州についても、うわさが広まっている。共和党支持者の多い地域で無効票を増やすため、油性サインペンの「シャーピー」を配るたくらみがあるというツイートが出回った。

広く拡散されているビデオでは、サインペンで記入した投票用紙は機械が読み取らないと女性が説明している。カメラを持つ人は、これが原因で無効票が出ている、有権者はむりやりサインペンを使わされていると言う。

この動画を機に、ソーシャルメディアでは不正だという声が相次ぎ、トランプ氏支持の票が大量に無効になっているといううわさが流布した。

Sharpie false claim

CNNによると、アリゾナ州マリコパ郡に集まった人たちは「シャーピーに関するソーシャルメディアの偽情報について叫んでいた」という。

しかし、「シャーピー」で記入しても無効票にはならないと、マリコオパ郡選管は説明している。

アリゾナ州のケイティー・ホッブス州務長官もツイッターで、投票所で本人が投票した票は「どのようなペンを使っていても(シャーピーでさえ)、集計します」と説明した。

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ホッブス氏は後にCNNに対して、「たとえ機械がなんらかの理由で票を読み取れなかったとしても、紙の反対側にインクが染みてしまうなどで、それでも数える方法はある。票は数えます。共和党支持の票を無効にするための陰謀が何かあるなどと主張するのは、まったく無意味です」と話した。

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