ネバダ州ブラック・ロック・デザートで毎年開催される「バーニングマン」。世界中から集まった約7万人の参加者が踊る(2017年8月29日)。
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バーニングマン(Burning Man)は、 サンフランシスコの仲間内のキャンプファイヤーから31年を経て、 現代のヒッピーとIT業界の大物が 等しく集う世界的巨大イベントへと進化した。
先週、ネバダ州ブラック・ロック・デザートの「プラヤ」と呼ばれる荒涼な平原に、約7万人の参加者、いわゆるバーナーたちが、この毎年開催されるカウンターカルチャー集会のために降り立った。 イベントの基本料金には、超現実的なインスタレーションアート、130以上のライブ、セレブとの遭遇、そして現実世界を超えたファッションが含まれている。
バーニングマンの不思議な魅力を理解するにはその世界を体験せねばならないと言う人もいる。だが、まずは2017年の様子を捉えたこれらの写真で、その雰囲気をのぞいてみよう。
毎年、ネバダ州の人里離れた砂漠地帯に都市が出現。バーナーたちは、この一時的なメトロポリスを「ブラック・ロック・シティー」と呼ぶ。
イベント会場は毎年同じ形状。巨大な半円だ。
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9日間のイベントに、約7万人の「バーナー」と呼ばれる人々が参加する。
彼らはプライベートジェットや車、またはテーマ性のある魅力的な「ミュータント・ビークル(突然変異型の乗り物)」で現れる。
この擬人化された木も、実は交通手段だ。
このイルミネーションで飾られた乗り物も同じ。
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この基本原則は、誰もがバーニングマンの一部になり得るという信念「radical inclusion(徹底的な多様性の受け入れ)」から、スポンサーや商取引、会場内の広告の禁止にまで及ぶ。
イベント中、金銭による取引は一切しない。人々はアイテムを贈り合う。
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しかし、イベントは無料ではない。2017年のチケットは、1人425ドル(約4万7000円)〜。
出典: Burning Man
参加者は食料、水、寝泊まりする場所など、必要なもの全てを持参する。
バーニングマンは、その砂嵐でも有名だ。顔に着用するゴーグルやバンダナが助けになる。
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実名ではなく「プラヤ・ネーム」で参加する人もいる。写真の女性は自分のことをルルと呼ぶ。
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服装は自由。
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ただし、コスチュームの着用は推奨されている。プラヤでのファッションは想像性豊かだが、参加者はトレンドにも乗っている。ゴーグルやキラキラと光るスパンデックス、ユニコーンの角……
……そしてカラフルな色合い。
「Man in the Mirror」としても知られるSteve MacWithey氏は、お手製のミラースーツで登場。
バーナーたちのワイルドなパーティーは、明け方から夜まで続く。
いわゆるエリートも大勢いる。2016年の参加者の約79%は白人で、年収の中央値は9万4000ドル(約1000万円)を超える。これはアメリカの中央値の2倍以上だ。
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出典: Archinect
こうした少数派の人々が、バーニングマンに豪華さをもたらす。
超富裕層の参加者たちは、このイベントに行くためにプライベートジェットやヘリをチャーターする。開催の1週間前には、ボランティアが砂塵まみれの道を舗装し、臨時のブラック・ロック・シティー飛行場を作る。
ブラック・ロック・ヘリコプター社は、ヘリの内装をバーナースタイルに飾りつけている。
予算に応じて、様々な宿泊設備が選べる。
バーニングマンの参加者の多くは、テントやワゴン車の中に寝泊まりする。
小規模なコミュニティーのようなテーマキャンプで寝泊まりする人も多い。キャンプは、バーナーたちが集団でインタラクティブな体験をするための空間として出現した。シェルターの提供もある。
そしてついに、「プラグ・アンド・プレイ(注:差し込むだけで使える」キャンプと呼ばれる贅沢なキャンプ場も現れた。ゲストは、このハイエンドなスポットに一晩で数千ドルを支払う。
もっとひっそりと過ごしたいという人は、ブラック・ロック・シティーの「郊外」に。少し離れてはいるが、比較的混雑していない。
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もちろん、バーナーたちはできるだけ屋内で過ごす時間は短い方がいいと考えている。
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この2人は、砂漠の真ん中で結婚した。
「バーニングマン」の4日目に結婚し、キスを交わす参加者のダスティン・スミス(Dustin Smith)氏とレベッカ・ワイアット(Rebecca Wyatt)氏(2017年8月31日)。
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アートインスタレーションも今までにないほどワイルド。この熊の家族は1セント硬貨でできている。
Flickr/blmnevada
拡大するとこんな感じ。
オーケストラ「プラヤ・プレイヤーズ・コレクティブ(Playa Players Collective)」によるストラビンスキーの『春の祭典』の演奏に合わせて、バーナーがダンスパフォーマンスを披露。巨大なアートプロジェクト「テネレの木(Tree of Tenere)」の前で踊った。
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Big Imagination Foundationと呼ばれるアーティスト集団は、インスタレーションアートとして、暗闇で光るジャンボ機を制作した。
Big Imagination Foundation/Facebook
その機内で「感情の手荷物」について、用紙に記入するバーナー。
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おもちゃの車とアクションフィギュアで作られたロボットが、我々を震撼させる。
Flickr/blmnevada
あるバーナーは、シンバルを叩くサルのおもちゃに覆われた車で、プラヤを移動。
Flickr/blmnevada
3つの頭を持つ女性に覆われたテントの前では、かなりのバーナーが足を止めていた。
アートパフォーマンスの数も豊富だ。宇宙人のような集団が、小さなパレードをやっていた。
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火を使ったパフォーマンスを披露する人や……
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動物の着ぐるみ姿で踊るバーナーたちもいた。
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暇つぶしに、目隠しをしてオイル・レスリングをするバーナーたちも。
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映画『マッドマックス』でもおなじみのサンダードーム(闘技場)も登場。ダンスクラブ「デス・ギルド(Death Guild)」が設営したこのドームの中では、空中に吊り下げられ、友好的な戦いに身を投じるバーナーもいた。
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あるインスタレーションアートが文字通り炎上している様子を見る参加者たち。
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炎はかなりの高さに達した。バーニングマン最後の夜、参加者はイベントのシンボルである巨大な棒人形「ザ・マン(tha man)」を燃やす。
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バーニングマンは日常生活からの一時的な休息だ。9月4日に全員が去れば終わる。そして、ブラック・ロック・シティーは来年まで消える。
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[原文:Surreal photos from Burning Man take you deep inside the madness]
(翻訳:本田直子)