5億5000万円のホンダジェットに乗ってみた。プライベートジェットの新境地だ。

HondaJetと筆者。

HondaJetと筆者。

Benjamin Zhang

  • ホンダジェット(HondaJet)は2015年に生産を開始。
  • 航続距離は、搭乗者4名で2265キロ。
  • 筆者は490万ドル(約5億5000万円)のホンダジェットに搭乗し、スムーズな飛行とキャビンの広さに感激した。

ホンダは、高い技術力で知られている。また優れた製品を開発するために、時間をかけることをいとわない企業だ。たとえば、ホンダは2代目NSXを完成させるのに10年を費やした。同車は2016年のBusiness Insiderのカーオブザイヤーを受賞している

だから、ホンダが同社初のプライベートジェットを初飛行させるまでに30年を費やしたと知っても、我々は驚かなかった。1986年、若き飛行機エンジニア、藤野道格氏が率いるチームが、航空産業への意欲的な一歩を踏み出した。これはホンダの創業者、本田宗一郎氏が1991年になくなる前にゴーサインを出した最後の大プロジェクトの1つ。本田氏は大の飛行機好きだった。

2006年、ホンダ エアクラフト カンパニー(Honda Aircraft Corporation)が、藤野氏をCEOとして設立された。490万ドルのホンダジェット(HondaJet)の開発、生産、販売がその目的。

「The Power of Dreamsは、ホンダにおいて私たちを導いてくれる原動力であり、理念だ」と藤野氏は同社のウェブサイトに記している。

「ホンダはこの度、誇りを持って我々の技術の最高峰を世に送り出す —— ホンダジェットだ」

同氏はホンダジェット(HondaJet)を「世界最新鋭の小型ビジネスジェット」と呼んだ。

先日、Business Insiderは、ホンダがデモンストレーションとして行ったホンダジェットのテストフライトに搭乗する機会を得た。

その様子を紹介していこう。



晴れた秋の朝、我々はモリスタウン空港に到着した。トランプ大統領のプライベートヘリのすぐ近くに、鮮やかな赤色のHondaJet。

HondaJet

Hollis Johnson


全長約13メートル、全高約4.5メートル、翼幅約12メートル。小型のビジネスジェットだ。ライバルは...

HondaJet

Hollis Johnson


セスナ サイテーションM2とエンブラエル フェノム100。

セスナ サイテーションM2。

セスナ サイテーションM2。

Textron


ノースカロライナ州グリーンズボロのホンダエアクラフト本社で生産されている。

本社工場

Honda


一目見れば、ホンダジェット(HondaJet)と普通のプライベートジェットの違いが分かるはずだ。特に、飛行機の性能を左右するノーズ(先端部)と翼のデザインは同社の自慢。

HondaJet

Hollis Johnson


藤野氏によると、ノーズのデザインは、同氏が休暇中にハワイの免税店で見かけたサルバトーレ・フェラガモのハイヒールからインスピレーションを得た。

ノーズ

Hollis Johnson


エンジンは、GE Honda エアロ エンジンズ製の新型ターボファンエンジンHF120。推力は2095ポンド。

エンジン

Hollis Johnson


残念ながら、VTECは搭載されていない。

エンジン

Hollis Johnson

VTEC(Variable Valve Timing and Lift Electronic Control system)は、同社の多くの車に搭載されている。VTECエンジンは低回転時には燃費効率に優れ、高回転時には高出力を発揮する。クルマ好きにはとても有名だ。

エンジンで特筆すべきは、その配置。

エンジン

Hollis Johnson


エンジンは胴体後部ではなく、主翼上面に配置。

エンジンの配置

Hollis Johnson


ホンダによると、エンジンを胴体から独立させることで、大きな荷物室と客室の騒音低減を実現。

エンジン

Hollis Johnson


胴体構造にカーボン強化プラスチック複合材を採用。従来のアルミニウム構造よりも軽くて強い。

HondaJet

Hollis Johnson


荷物室について言えば、後部に「トランク」があり...

トランク

Hollis Johnson


ノーズには「フランク(前部トランク)」がある。両方合わせた荷室容量は66立方フィート(約1.9立方メートル)。

前部トランク

Hollis Johnson


内部を見ていこう。

搭乗口

Hollis Johnson


客室は全長17.8フィート(約5.4メートル)、幅5フィート(約1.5メートル)、高さ4.8フィート(約1.5メートル)。つまり、ほとんどの大人は立てない。

客室

Hollis Johnson


4人なら快適に座われる。

客室

Hollis Johnson


ドア近くのジャンプシートと副操縦士席も使えば、最大6人が搭乗可能。

ジャンプシート

Hollis Johnson


これは、ホンダジェット(HondaJet)が1人で操縦できるから可能なこと。また自分で操縦したいと考えるプライベートジェットのオーナーにとって大きなセールスポイントとなる。副操縦士を雇う必要がない。

コクピット

Hollis Johnson


客室後部の化粧室には、シンクと...

化粧室のシンク

Hollis Johnson


トイレ。

トイレ

Hollis Johnson


化粧室の天井には天窓も。

化粧室の天窓

Hollis Johnson


感想? 最高にクール。

HondaJetと筆者

Benjamin Zhang


何よりも、性能がスゴイ。乗客4人、鞄、カメラ機材を載せて、ホンダジェット(HondaJet)が離陸に要した距離は、全長6000フィート(約1800メートル)の滑走路の半分以下。HondaJetは1分間に3990フィート(約1200m)上昇可能。

機体後部

Hollis Johnson


我々が最近乗った、より大型で高価な2000万ドル(約22億円)のエンブラエル レガシイ500の方が静かで洗練されていたが、490万ドルのHondaJetは十分穏やかで、声を張り上げて会話する必要はない。

飛行中のHondaJet

Hollis Johnson


窓は大きく、開放的で広々としている。

窓

Hollis Johnson


シートには革新的なフローティングボールジョイントシステムを採用。無段階に調節できる。

シート

Hollis Johnson


さらに、WiFiとタッチスクリーン方式のキャビンコントロールシステムが利用可能。

客室

Hollis Johnson


コックピットは、専用開発されたGarmin G3000次世代オールグラスアビオニクスシステムを搭載。

コクピット

Hollis Johnson


3つの14インチ高解像度タッチスクリーン。

コクピットのタッチスクリーン

Hollis Johnson


そしてフライトシステムは、小型のタッチスクリーンにすっきりと直感的にまとめられている。

小型のタッチスクリーン

Hollis Johnson


我々が話をしたベテランパイロットとホンダジェット(HondaJet)の関係者は、初心者でも5分あればフライトシステムを使えるようになると述べた。

コクピット

Hollis Johnson


最先端のホンダジェット(HondaJet)だが、いくつかはあえて従来の技術を採用した。多くの次世代ジェットとは異なり、HondaJetではフライ・バイ・ワイヤではなく物理的な操縦システムを搭載。

操縦桿

Hollis Johnson


最大巡行速度は、高度3万フィート(約9100メートル)において時速782キロ。実用上昇限度は4万3000フィート(約1万3000メートル)。つまり雲の上を、ほとんどの商用航空機よりも高く飛行できる。

機体後部

Hollis Johnson


航続距離は乗員1名、乗客3名で2265キロ。強い向かい風でも、ボストンからフロリダ州フォートローダーデールまで3時間以内で飛べる。つまり、東海岸から中西部のほぼすべての地点まで飛べる。

コクピット

Hollis Johnson


生産開始は2015年。現在、週に1機のペースで生産している。だが、購入には時間が必要だ。同社は2018年後半分まで受注残を抱えている。

機体全景

Hollis Johnson



[原文:I flew on Honda's new $4.9 million private jet, and it's an absolute game-changer

(翻訳:Conyac

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