世界の核兵器は1万4525基、9カ国が保有、その内訳は

小型化された熱核弾頭の部品と思われるものの前に立つ北朝鮮の最高指導者、金正恩氏。

小型化された熱核弾頭の部品と思われるものの前に立つ北朝鮮の最高指導者、金正恩氏。

KCNA via AP

  • 核兵器は第ニ次世界大戦以降、世界中に拡散している。そして過去数十年で何千回もの核実験が行われた。
  • 核兵器の数は現在、冷戦が最高潮だった時代に比べると減少している。だが、その威力は著しく増した。
  • 現在、9カ国が1万4525基の核兵器を保有している。

1945年8月6日、広島に、8月9日、長崎に原爆が投下された。

核兵器は恐ろしいほどの破壊力を持ち、一瞬で想定外の大惨事を引き起こしかねない。だが世界は第ニ次世界大戦以降、何千発もの核兵器を蓄えてきた。

ごく少数の国、主にアメリカとロシアが核兵器を保有し、過去数十年に数千回核実験を行った。北朝鮮のような新たな核保有国も出現した。

アメリカ科学者連盟(FAS)によると、1980年代末の冷戦末期には、核兵器の数は7万基以上に達した。

FASや他の機関は、核兵器の保有数を記録し、定期的に発表している。

現在、世界の核保有数は劇的に減った。だがその規模、拡がり、破壊力は憂慮すべきレベルにある。

科学者は、広島型原爆の100倍の破壊力を持つ核兵器は、それだけで「核の冬」を引き起こし、世界的な飢饉をもたらすと予測している。

「現在の保有数と1950年代の保有数の比較は無意味。現在の核兵器の破壊力は極めて大きい」と兵器専門家のハンス・クリステンセン(Hans Kristensen)氏とロバート・ノリス(Robert Norris)氏は6月、FASが発表した報告書に記した。

「核軍縮のスピードは著しく低下している。核保有国は核軍縮を計画するのではなく、強力な核兵器を保持し続けようとしているように思える」

以下の地図には、世界の核保有国9カ国ごとの保有数をまとめた。

世界の核保有国とその保有数

国別の核保有数

9カ国が1万4525基の核兵器を保有。

Samantha Lee/Skye Gould/Business Insider

いくつか例外はあるものの、ここにあげられたのは、実際に使用可能な核弾頭の数。

そして上記の数にはテキサスにあるアメリカ政府の施設「パンテックス・プラント(Pantex Plant)」に貯蔵されている約2万のプルトニウム・ピット ── つまり、核爆弾のコアは含まれていない。このプラントでは核兵器の組み立て、メンテナンス、廃棄が行われている。

核兵器の数は今後数年、微妙に、だが激しく変化していくだろう。

例えば、北朝鮮は近年、核実験ミサイル発射実験のペースを上げた。2017年には、約10億ドル(約1100億円)規模の経済制裁が行われていたにもかかわらず、太平洋上で水爆実験を行うと主張した。

また北朝鮮は60基の核兵器、小型化された核弾頭、アメリカ東海岸を射程圏内に収める長距離ミサイルを保有しているとみられている。トランプ政権によって、北朝鮮は「非核化」に合意する文書に署名したが、核兵器の開発をまだ続けているようだ。

一方、トランプ大統領は1兆7000億ドル(約190兆円)規模の核兵器の近代化計画を引き継いでいる。ロシアも同様に近代化予算を増やしている(ロシアの核兵器の近代化について、トランプ大統領は「軍拡競争にすればいい」と発言し、核開発競争におけるアメリカの優位を強調した)。

だがトランプ政権は近代化計画に固執せず、より小型の、いわゆる「戦略的」核兵器の開発に取り組む姿勢を見せている。戦略的核兵器は従来の核兵器と比べて極めて機動性が高く、世界中に核兵器を拡散してしまうことになるかもしれない。

核兵器廃絶を目指す人々には希望もある。2017年のノーベル平和賞には、ICAN(アイキャン:International Campaign to Abolish Nuclear Weapons)が選ばれた。

ノルウェー・ノーベル委員会は、その選定理由としてICANが「核兵器廃絶を目指して活発に活動している」ことをあげた。またICANの働きかけによって、国連加盟122カ国が核兵器禁止条約に署名したことを指摘した。

[原文:About 14,525 nuclear weapons exist today in the arsenals of these 9 nations]

(翻訳:R. Yamaguchi、編集:増田隆幸)

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