天安門前を通過する無人航空機の翼竜1。第二次世界大戦終戦70年記念の軍事パレードにて。北京。
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- 中国の軍事用ドローンが、ヨーロッパに到着予定だ。セルビア軍は準備ができ次第、成都飛機工業公司のドローン兵器、翼竜1を9機受け取る。9月10日(現地時間)、アメリカ国防省が運営する星条旗新聞(Stars and Stripes)が報じた。
- 同公司は、この引き渡しについて「伝統的にアメリカとヨーロッパの兵器メーカーに依存してきた大陸への進出で、中国にとって最も重要なことである」と記した。
- 中国は、安くて性能のよい無人戦闘システムを構築していて、中東、中央および南アジアの一部、そして今やヨーロッパにおいても注目を集めている。
中国製の軍事用ドローンが初めてヨーロッパに向かったと報じられており、世界各国が戦闘用ドローンに注目する中、中国がこの国際兵器市場の重要な部分で存在感を増していることを示している。
星条旗新聞(Stars and Stripes)は10日、現地メディアと関係者の話として、セルビアは今後6カ月以内に成都飛機工業公司(Chengdu Aircraft Industry Group)のドローン、翼竜1(Pterodactyl I)を9機受け取る予定で、さらに15機の追加発注があるかもしれないと報じた。
成都飛機工業公司は「これは伝統的にアメリカとヨーロッパの兵器メーカーに依存してきた大陸への進出で、中国にとって最も重要なことである」と述べた。
セルビアが軍事目的で中国のドローン入手に興味を示したのは昨年のことだ。昨年9月に、ディフェンス・ニュース(Defense News)が報じている。セルビアは、兵器と装備品を中国を含む複数のサプライヤーから購入するつもりだと述べている。
星条旗新聞によると、「セルビア軍は大いに強化されるだろう。これまで手にしたことのない能力を得ることになる」とセルビアの国防相、アレクサンダル・ブリン(Aleksander Vulin)氏は10日、セルビアの国営メディアのインタビューで述べた。首都ベオグラードの軍事アナリストは「中国は非常によい無人飛行機を持っている。おそらくアメリカの次に高性能だろう」と説明する。「彼らは明らかにアメリカのシステムをコピーしているが、中国のドローンは非常に性能がよく、そして非常に安い」と付け加えた。
中国のドローン兵器、翼竜はアメリカ軍のMQ-1・プレデター(Predator)とMQ-9・リーパー(Reaper)と非常によく似ている。これらは中東の数カ国と、中央アジアと南アジアの一部で販売されており、戦うところも目撃されている。
戦略国際問題研究所(CSIS)のリスク&フォアサイトグループの専門家、サム・ブランネン(Sam Brannen)氏は昨年、ディフェンス・ワン(Defense One)に対し、中国は「次世代ドローンなら中国製、という選択肢を世界にもたらす」と語った。
「アメリカやヨーロッパが提供するものからは程遠いが、市場に出回ることになるだろう」
すでに、多くの国、特に、厳しい輸出制限の関係でアメリカからこのテクノロジーを入手するのに苦労している国々が、中国のドローンを購入している。中国は中東で多くのドローンを販売してきた。翼竜だけでなく、生産者が「世界で最も人気のある軍事ドローン」と呼ぶ、彩虹(Rainbow)シリーズといったモデルも含まれる。
無人機システムの輸出は、たとえ中国のドローンがアメリカのシステムと同等ではなく単に似ているだけの物だとしても、世界兵器市場での存在感を高めて、おそらく他のさまざまな軍事的な取引や防衛協定を生み出し、そしてさらなる世界的影響力の可能性への扉を開くだろう。
中国の国営メディアによると、中国はすでに、開発中のステルス・ドローンの輸出に意欲を見せているという。
[原文:Chinese combat drones are cheap but effective, and they are headed to Europe]
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)