あいトリ補助金不交付は「検閲だ」、文化庁に撤回求める署名半日で5万突破!

文化庁が発表した、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」への補助金、全額不交付の発表を受け、同日夜にその撤回を求める署名が立ち上がった。開始後12時間余りで4万6000人を超える賛同が集まり(27日12時10分)、多くのアーティストたちも危機感を募らせている。

文化政策の根幹を揺るがす暴挙

あいちトリエンナーレ

文化庁の補助金不交付の撤回を求める署名は増え続けている。

出典:「あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」の作品撤去・中止をしないでください」署名ページ。

署名を立ち上げたのは、あいちトリエンナーレ参加アーティストによるプロジェクト「ReFreedon_Aichi」だ。文化庁は不交付の理由として(1)審査段階で具体的な計画がなかったこと(2)電凸や脅迫が続いた時点で報告がなかったこと(3)展覧会中止によって事業の継続が見込まれにくなったことなどをあげているが、同プロジェクトは、

「予定どおりの実施が困難になった『表現の不自由展・その後』の支出は約420万円にすぎず、約7800万円の補助金全額の不交付を根拠づけるには全く不十分

であり、

展示中止を迫った中には市長などの公人も含み、そして過熱したのはテロ予告や恐喝を含む電凸など。 作品の取り下げを公人が迫り、それによって公金のあり方が左右されるなど、この一連の流れは、明白な検閲として非難されるべきもの」

だと批判。

「これまで先人たちが作りあげてきた日本の文化政策、公的助成制度の根幹を揺るがす暴挙」

だとし、補助金不交付の撤回を求めている(主張は同署名キャンペーンより)。

表現や研究の自由への危機感

萩生田光一

報道などによると、萩生田光一文部科学相は今回の文化庁の決定について「展示物の内容については全くコメントする立場にございません」とコメントしている。写真は2019年9月11日撮影。

Reuter/Issei Kato

また、文化庁の補助金不交付の報道を受け、多くの著名人が抗議、危機感を示している。

「政府に都合のいい文化事業にしか補助金が出ない。今後、戦争の歴史的展示にも同じことが起こるぞ」町山智浩(映画評論家)

「えっ。安倍政権は『日本には表現の自由はいらない』と決めたようです」想田和弘(映画作家)

「こんなことが許されるなら、実質政府の顔色伺いながらやるしか無くなるじゃないか。これ酷すぎないか。文化庁は脅迫をした人たちに手を貸すってこと?これじゃ国の言いなりでしか物か出来ないじゃないか」大友良英(音楽家)

「自宅で卒倒したニュース。文化庁から助成金をいただいたことがある方ならご存知の通り、1年前(あるいはそれ以上前)から書類を提出するので、『具体的な展示内容の説明がなく不十分』という理由が通ってしまうなら、萎縮して演劇は内容がほぼ決まっている再演ばかりになる」綾門優季(劇作家)

「私も文化庁の助成金をもらって撮ったが、ドキュメンタリーの場合は申請時の内容を保証できない(実際大幅に変わった)。この決定は大なり小なり、今後作り手のあり方に大きく影響する」中村佑子(映画監督・テレビディレクター)

「さっそく萩生田文科相効果か。『反日研究には科研費は出すな』はすぐそこ。杉田水脈議員を訴えた『国会議員の科研費介入とフェミニズムバッシングを許さない裁判』にご注目ください」牟田和恵(大阪大学教授)

「一方で『ジャパンデイプロジェクト』というクールジャパンイベントへの補助金は、事前の申請内容が白紙で、途中で頓挫と似た状況で満額20億円が交付された例があるのだけど」ヒロ・マスダ(合同会社Ichigo Ichie Films LLC 代表社員)

「すでに外交、経済、学術の全分野で劣化が止まらない日本にそれでも最後に残っていた文化的発信力もこれでとどめを刺されました」内田樹(哲学者)

(文・竹下郁子)

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