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レディファーストだけじゃない。イギリスに息づく「騎士道精神」

レディファーストだけじゃない。イギリスに息づく「騎士道精神」

140123_knight_01.jpgエレベーターのない駅が多く、ホームと電車の隙間が広い場所もあるロンドンの地下鉄。実はとても不便な場所なのです。初めてベビーカーを押して出かける時は心配でしたが、階段の下に辿り着くと、即座に助けの手が伸びてきました。

困っている人にすぐ気づく、イギリス人の行動力

その後も地下鉄を利用していますが、いつもたくさんの人が親切にしてくれるので子連れ外出のストレスが減ったほど。毎回驚かされるのは、その「気づき」と「行動」の素早さです。階段の下で立ち止まり、ひとりでベビーカーを担ごうとガサゴソしていると、たいてい5~10秒以内に声がかかり子どもの足元にあるバーの部分に手が伸びてきます。つまり、皆さんベビーカーのどの部分を持てばいいのか、よくわかっているのです。

紳士を生み出す「騎士道精神」

困っている人に手を差し伸べることが、当たり前のこととして浸透しているイギリス社会。こうした紳士的振る舞いの背景には、英国の騎士道精神があるようです。「騎士道精神」とは一体どのようなものなのでしょうか。ウェブサイト「how stuff works」の"How Knights Work"では、騎士の戒律が紹介されていました。

・騎士たるもの、常に女性を守るべし。・騎士たるもの、真実のみを語るべし。・騎士たるもの、主君に忠誠を誓うべし。・騎士たるもの、教会に帰依すべし。・騎士たるもの、貧しき者や弱き者を慈しみ、擁護すべし。・騎士たるもの、勇敢であるべし。・騎士たるもの、遠征の際は就寝時以外は常に甲冑と剣を身につけるべし。

騎士道は武士道とよく比較されますが、武士道と異なることのひとつに「貴婦人への献身」が挙げられます。中世の時代には、「宮廷的愛(courtly love)」といって騎士が主君の妻を崇拝し、婦人の導きを求めつつ奉仕を行う文化がありました。これが現代のレディファーストに繋がっていると言われています。

イギリス女性の振る舞いに感動

ですが、こうした紳士的振る舞いは、もはや男性だけのものではなくなっていると感じる出来事が何度もありました。子どもを抱っこしている時に車内で席を譲ってくれた女性(席を立ったその女性に、さらに席を譲る男性がいたのには驚きましたが)。そして、階段でベビーカーを一緒に持ってくれたおしゃれな若い女性。この女性がロングのフレアスカートを翻しながら笑顔で颯爽と立ち去った時の美しさは、忘れられません。私もこのような思いやりと品格ある振る舞いができるようでありたいと感じた瞬間でした。

最後に、こんなポジティブなエネルギーがどんどん伝染していく様子を表現した素敵な動画を見つけたのでご紹介します。誰かから親切にされると、今度は自分も誰かに親切にしたくなるもの。何もお返しできない分、「どうかこの人にいいことがたくさん起こりますように!」と思わず願ってしまいます。

how stuff works,Chivalry and Courtly Love,Life Vest Inside

photo by Thinkstock/Getty Images

(文/上山美紀)

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上山美紀
元福島テレビアナウンサー。農家の取材やオーガニック文化発祥のサンフランシスコでの生活がきっかけとなり自然派志向に。3人目の子供はロンドンの自宅で出産。ブログ(サンフランシスコロンドン)では、有機野菜や玄米食、オーガニック化粧品、自然療法、アロマテラピーを通して自然と繋がるライフスタイルやアンティーク・ビンテージを取り入れたインテリアなどを提案。趣味は、写真、ピアノ、旅行、ガーデニング。

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