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「あの車は壊れる」は本当か? 19歳のオーナーが見たルノー 21ターボ~輸入車“若者”オーナー見聞録~
一見控えめな外観だが、すべてに万能な現在の21ターボ
60年代末期生まれの筆者だが、生の記憶はない60年代文化全般、すなわちザ・ビートルズや当時の車などには大いに興味がある。その後、音楽も自動車も長足の進歩を遂げたわけだが、それでも、現代のプロダクツが取りこぼしてしまった(もしくはあえて取りこぼした)何かが、わたしを強く刺激するのだ。
バリバリの平成生まれである池田悠真(いけだゆうま)さんを刺激したのは、80年代から90年代にかけての車たちだった。
「欧州車が好きというより、あの時代の車全般が好きなんですよね。直線的なデザインで、いろいろな部分がコスト度外視で無駄に凝ってて(笑)。つまり今の車には絶対にない部分が、僕にはとても魅力的だったんです」
18歳で免許を取得。初代トヨタ MR2やEP71こと3代目スターレットなどを物色し、最終的に購入したのがプジョー 106ラリーの前期型。正規輸入はされなかった希少な競技用ベース車だ。「もっのすごく気に入りました!」ということで各所を走り回った池田さんだが、その後、諸般の事情により買い替えを余儀なくされた。
「で、またスバル アルシオーネやプジョー 205CTIとかを探しはじめ、たまたま試乗できて、いきなり気に入ったのがルノー 21ターボでした」
21は「ヴァンテ・アン」と読む。元祖フレンチロケットとでも呼ぶべきターボ車だが、同時に「フレンチダイナマイト」とも噂される。要するに、いつ・どこで故障という名の火薬が炸裂するかわかったもんじゃない……と。
「でも実際はぜんぜん平気なんですよ。そりゃつまらないトラブルはたまに起きますが、走行不能になるような故障は1回も起きたことがありません。……確かに昔、21ターボは壊れまくったのかもしれませんが、いまだ廃車にならずに流通している個体は、もう悪いところは全部出尽くしちゃってて(笑)、かえってフツーに乗れるんじゃないですかね?」
知らない人が見ればただの古くて四角いセダンだが、見る人が見れば希少名車であることがわかり、そしてよく見れば「単なる四角」に見える部分にも、実は複雑で玄妙なデザインが施されていることがわかる。そのようにさりげなくシブい92年式ルノー 21ターボを、池田さんはこよなく愛している。
「たぶん新車は一生買わないんじゃないでしょうか。決して新車が嫌いなわけじゃないんですが、100万円とか200万円で買える新車は正直つまらんですよ。でも中古車であれば、同じ予算で『名車』が手に入る。……これはやっぱり素晴らしいことなんじゃないかと思いますね」
今回の車
ルノー 21ターボ