LGBTQコミュニティを中心に据えたミュージカル・ドラマ『Pose(原題)』での演技が高い評価を受けるほか、2013年には『キンキーブーツ』ではトニー賞主演男優賞を受賞した俳優のビリー・ポーター。彼は2019年アカデミー賞のレッドカーペット序盤に現れるやいなや、いきなり会場の空気をさらっていった。クリスチャン・シリアーノのドレスに身を包み、オスカーハイマンのジュエリーで飾ったスタイルはこれまでにないもので、彼はレッドカーペットの歴史に名を刻むことになるだろう。

91st Annual Academy Awards - Arrivals
Frazer Harrison//Getty Images

スタイリングを担当したのはスタイリストのサム・ラテル。ビリーの格好はまるでビクトリア朝時代をテーマにした小説に出てくる、危険な秘密を持ったグラマラスな婦人とその執事のよう。

US-OSCARS-ARRIVALS
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あるいはイーディス・ウォートンの小説のワンマンショーのようでもあり、その姿に人々は絶賛の声を上げている。

フルレングスのドレスにビスポークのタキシードスタイルの上着を合わせた姿のビリー・ポーターは我々の性役割に関する考えを軽やかに翻してくれる。

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その姿が象徴するのは『Pose(原題)』でビリー扮するプレイ・テルのセリフを借りれば、「カテゴリーは、あなた自身と結婚して、それを愛すること」だ。

91st Annual Academy Awards - Red Carpet
Kevork Djansezian//Getty Images

衣装のチョイスについて、ポーターは雑誌の取材で「(初めての衣装合わせで)いきいきした気分になった。“自由”を感じた。それにオープンさや晴れやかさ、そして美もね! 今までにないことだった」と語っている。彼はまた、このルックは女装のつもりではなく、ドレスを纏いながらも一人の男性であると強調している。

「僕の目標は、登場するたびに歩く政治的アートになることだよ。予想に対して挑戦すること。男らしさって?それは何を意味しているの?」

91st Annual Academy Awards - Red Carpet
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伝統的な男らしさは、宇宙の彼方へと飛んでいった。

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