2021年3月6日(土)、7日(日)に配信されたゲーム情報&バラエティー番組、“WILDish Presents GAME LIVE JAPAN With ファミ通・電撃ゲームアワード”。その最後を飾る番組として、『ファンタジアン』の最新情報などが明かされた特別企画“坂口博信氏インタビュー&『FANTASIAN』独占情報公開【収録放送】”が公開された。

 本記事では、番組で明らかとなったゲームシステムについてなど、気になるポイントをピックアップしてリポートしていく。

 MCはファミ通グループ代表の林克彦が務め、番組にはミストウォーカーの代表であり、『ファンタジアン』のプロデュースとストーリーを担当した坂口博信氏、ディレクターの中村拓人氏、プロモーションなどを担当する西川紗帆氏が登場。番組後半には、スクウェア・エニックスの北瀬佳範氏もゲストとして登場した。

01
左から林 克彦、中村拓人氏、西川紗帆氏。画面左上の坂口博信氏はアメリカからの中継で参加した。
02

『ファンタジアン』は6:00:00ごろからスタート

ジオラマとゲームを組み合わせる挑戦

 坂口氏いわく、『ファンタジアン』の開発のきっかけは、ファミ通TUBEにて2018年3月に配信された、『ファイナルファンタジーVI』を実況プレイした番組“『FF』の生みの親・坂口博信氏が『FFVI』をクリアーする放送”がきっかけ(“第1夜”はこちら)。当時の開発メンバーたちと『FFVI』を遊ぶときの感覚が、『ファタンジアン』の着想につながったそうだ。

 とくに開発で気にしたのが、“昔ながらのRPGっぽさ”。たとえばフィールドを探索しているときに「入れるかな?」と思って行ってみたところに宝箱が置いてあるなど、そういった要素は必ず入れようと当初から決めていたのだとか。そして、以前に公開されたトレイラーに、今回のためにボス戦の様子などをさらに追加した特別バージョンの映像が公開された。

03

 また、本作の最大の特徴とも言えるのが、実際に制作されたジオラマのフィールドを冒険すること。番組では、実際にゲーム内で使用されたジオラマの実物を横に、トークが展開された。ジオラマを採用した理由も、『FFVI』の生放送がきっかけ。『FFVI』が発売された当時の主流のモニターは、ブラウン管テレビ。ブラウン管特有の滲みを考慮して作られたグラフィックというのは、アナログなものだった。そこから坂口氏は「アナログっていものだよな」と思ったところから、ジオラマの採用を決めたという。

 ジオラマは現在、地方のスタジオに預けているのだが、運ぶだけでも破損してしまったりするので、なかなか管理がたいへんなのだそう。坂口氏は「美術館などで展示したい人がいれば、お声掛けください。半永久的にお貸しします(笑)」と語っていた。

04
05
06
飛空艇・ウズラ号の模型

 また、ジオラマ職人の皆さんのこだわりは本当に強く、坂口氏からはお願いしていないような部分まで作り込んでくれたとのこと。たとえば、単なる部屋の仕切り板なのに、本当に折り畳める仕様になっていたり、炎にLEDでライトが発光する仕組みを仕込んだり、魔導工場のオブジェクトにわざわざガラス職人にガラスを吹いてもらって制作していたりと、そのこだわりは相当なものだそう。

 150人以上ものスタッフ・職人が関わったという、約150ものジオラマ制作。ふだんのゲーム開発ではまずありえないような苦労話が、いくつも語られた。

07
08
09
10
この部分が……
11
じつはガラスで作られているこだわりぶり。
12
13
14
細かな骨組みなども“溶接”されていたりする。
15
ジオラマは360度から数百枚の写真を撮って……
16
3Dデータに落とし込む。その上にさらにジオラマの写真を投影するような感じで、『ファタンジアン』のマップは作られている。普通のフィールドを作るのとは何倍も違う労力なのだとか。

“ディメンジョンバトル”に注目!

 続いては、気になるバトルシステムについて、坂口氏が解説。バトルはランダムエンカウント方式で、フィールドを歩いて敵とエンカウントするとバトルになる、オーソドックスなもの。ターン制となっており、画面右下に表示された行動順に合わせて、キャラクターたちが行動していくとのこと。時間は流れないので、1手1手じっくり考えられるそうだ。

17

 特徴的なのが“エイミング”という攻撃方法。スキルによって軌道は直線やカーブなど異なるものになっており、そのライン上にいる敵を攻撃できるようになる。

18
19

 また、“ディメンジョンバトル”というシステムが『ファンタジアン』には存在する。ディメンジョンバトルをオンにすると、敵とエンカウントした際、敵を異次元に飛ばすことができる。異次元に敵をストックしておいて、後でまとめて戦えるというシステムだ。

 このシステムの発端は、そもそも本作の移動はタッチ操作に対応していること。画面をタッチした場所にプレイヤーキャラクターは自動で移動してくれる仕組みとなっている(コントローラーを使う場合はスティックなどで操作する、ふつうの移動となる)。たとえば宝箱を発見したとき、宝箱をタッチするだけでそこまでキャラクターが移動してくれることに、坂口氏は気持ち良さを感じたそうだ。しかし、そのあいだに敵とのエンカウントが挟まると、宝箱までたどり着かない(移動が途中で止まる)のは気持ちよくないと感じたことで、このエンカウントストックシステムをひらめいたそうだ。

20
ディメンジョンバトルをオンした状態でエンカウントすると、画面左上に敵が溜まっていく。
21
そして好きなタイミング(または強制バトル)でディメンジョンバトルに移行する
22

 ディメンジョンバトルではもちろん、ストックしたぶんだけ敵が大量に出現する。ただ、たとえば20ストックしたからといって一気に20体が出るのではなく、ある程度倒すと援軍という形で出現するようだ。また、ディメンジョンバトル内では“ギミック”と呼ばれるアイテムが存在し、それを攻撃することで再度行動できるようになるなど、強力な効果を得られる。ギミックを駆使することで、大量の敵を相手にしても戦えるようなイメージだろう。

 ディメンジョンバトルは最大30の敵をストックできるが、クエストをこなすと最大値も上昇するとのこと。また、たとえば最大30ストックしたときエンカウントすると、強制的にディメンジョンバトルが始まる仕様となっている。

23

 坂口氏が本作の醍醐味のひとつとアピールしたのが、ボスバトル。ディレクターの中村氏が1体1体に味付けをしていったとのことで、かなり戦略的なバトルが味わえるのだとか。ボスごとに戦略が違うので、倒しかたを探っていくのが勝利の鍵を握っているとのこと。

 また、仲間のキャラクターは総勢8人とのことで、序盤は固定メンバーの3人でバトルが進んでいくが、後半からは8人のメンバーを自由に切り替えながら戦うようなシステムになるそう。物語も前編ではリニアに進んでいくいわゆる“1本道”スタイルで、後半からは自由にクエストをこなしていくシステムになる。本作の着想のきっかけが『FFVI』であることから、『FFVI』のゲームスタイルを踏襲して、本作のプレイスタイルにつながっていったとのことだ。

多重構造の世界で展開する冒険

 続いては、世界観やキャラクターを、坂口氏が詳しく解説してくれた。物語の舞台は、ファンタジックな世界から機械がたくさんある世界など、さまざまな世界がいくつも多重構造になっている世界。主人公の青年・レオアは、その世界を渡り歩きながら冒険をくり広げていく。

 また、音楽は植松伸夫氏がすべて作曲を手掛けた。60曲以上も制作したそうで、すべてに植松氏の魂が込められていると、坂口氏は絶賛。音楽を聴いたときは、思わず涙が出てしまったほどだという。植松氏は、ゲームの楽曲をすべて手掛けるのは、本作で最後のつもりで挑んだそうだ。

 タイトルの『ファンタジアン』にどのような思いを込めたのか尋ねられた坂口氏は、「『ファイナルファンタジー』からの、『ファンタジアン』だよね(笑)」と冗談交じりに答えた。自身の代表作と名前が似ることは避けようとも考えたが、自分の持つ世界観を世に出したいとなると、やはり“ファンタジー”という言葉を使いたくなってしまったのだとか。

 番組で流れたストーリートレーラーには、登場人物たちの姿が映し出される場面も見られた。

24
25
26
27

北瀬氏との濃密トーク!

 番組後半では、過去に『FF』シリーズなどで開発をともにした、スクウェア・エニックスの北瀬佳範氏がゲストで登場。北瀬氏は事前に『ファンタジアン』をプレイしたそうで、まだゲーム序盤とのことだが、「おもしろいです!」と回答。

 坂口氏の狙いなども感じられるそうで、「カウンターの裏から話しかけちゃったら、こうなるよね」など、なんとなく『FF』シリーズにもあったネタが入れ込まれているようだ。また、取れそうで取れない宝箱もあり、北瀬氏は“後で取れる宝箱なんだろう”と判断したそうで、昔ながらのRPGらしい味付けがふんだんに取り込まれていることがうがかえた。

 1時間に渡り、『ファンタジアン』の開発秘話から『FF』シリーズの思い出なども交えて、坂口氏と北瀬氏による貴重なトークがくり広げられた。こちらはぜひ、アーカイブ動画をチェックしてみてほしい。

28

『ファンタジアン』は6:00:00ごろからスタート

※画像は配信映像をキャプチャーしたものです。