「モテる女」の法則とは? 「ブス」がモテている実態と背景を詳細分析!

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  • author 福田ミホ
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「モテる女」の法則とは? 「ブス」がモテている実態と背景を詳細分析!

意外だけど、納得!

米国の大手出会い系サイトOkCupidが、サイト内でのデータを使って、どんな女性がモテるのかを分析しました。やり方としては、女性のルックスに対する評価と、実際に女性が受け取る男性からのメッセージの数の関係を分析したのです。その結果、世間でよくある「あいつブスなのにモテてるみたいだけど、何なの?」という状況がデータ上でもはっきり確認されました。その状況はどのように、なぜ発生しているのでしょうか?

以下、OkCupidで行われた分析の詳細です!

今回は女性の魅力について分析してみたのですが、ありがちな写真の分析とかではなく、写真の向こうにあるもの、つまりその写真を見て男性が女性をどう評価し、行動したのかを分析しました。

いろいろ発見がありましたが、主にこんなことがわかりました。

・女性のルックスについて、男性の意見が割れれば割れるほど、男性は結局その女性に好意を抱きやすくなる

・単にかわいいだけの女性は男性から素通りされやすい

・一部の男性からブスだと思われている方が、女性には実際有利に働く

念のため、今回の結果は(途中で触れる有名人の事例を除いては)筆者の意見ではありません。使われた全てのデータは、実際のユーザー行動から収集されたものです。

では、始めましょう。

全ての人は、特に男性は、いちばんホットな女性を探してメッセージを送ろうと努力し、その結果は不均衡な状態となります。筆者が把握しているところでは、「ホット」な女性は平均的な女性のざっくり4倍、「ブス」な女性の25倍のメッセージを受け取ります。でも、受け取るメッセージがあまりに多くなると、ユーザー、特に女性は逃げてしまいます。なので我々は分析の上、この傾向を回避して、OkCupidが男祭り状態にならないようにしなくてはなりません。

それでOkCupidではときどき以下のような分析をしてみます。以下では5000人の女性ユーザーをサンプリングし、縦軸=過去1ヵ月に受け取ったメッセージ数横軸=魅力度、としてグラフに表しています。ひとつの「x」は一人のユーザーを表し、「x」が上の方にあるほど受け取ったメッセージ数が多く、右側にあるほど魅力度が高い人、というわけですね。

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このグラフでは、人種、地域、年齢、プロフィールの完成度、ログイン行動などは調整してあり、サンプル間で意味のある違いはルックスのみにしてあります。我々がこうした分析をいくつかしてみた結果、ある疑問が生まれてきました。なぜ「x」がこのように広がっているのだろうか? 特に、上の方にぶれている「x」にはどういう意味があるだろうか? という疑問です。これは単なる偶然なのでしょうか?

たとえばこちらの女性です。

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上の方にぶれていますね。たとえば以下の女性と比べてみましょう。

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「魅力度」は同じくらいなのに、受け取るメッセージ数は上の黒髪の女性の方がずっと多いんです。

・同じ魅力度「7」でも中身は違う

こんな現象を理解するために必要なのは、どう違うのかを数学的に分析することだと考えました。

たとえば、よくある10段階での「ルックス」スケールで、ある人が「7」だとしましょう。それは、その人を見る人全てが同じように「かわい!」と思ったのかもしれません。

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でも、以下のように極端な割れ方をしていることも考えられます。

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ある人が「7」だということしかわからなければ、上のどちらのケースなのかはわかりません。

でも、みんなが同じ意見なのか、それとも意見が割れているのか、という評価の分布が非常に重要だということがわかってきたのです。

・有名人の例で考える

有名人の例で、評価の分布がどんなものかを見てみましょう。こちらのクリステン・ベル嬢に関しては、筆者の主観になりますが、以下のような分布になっていると思われます。

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つまり、高めの評価に偏っています。彼女は広くあまねく美人だと思われていて、とはいえほとんどの人にとっては飛び抜けているわけでもないのです。最上級の評価をする人はそれほど多くなく、そのひとつ下のランクに評価する人が一番多いと思われます。逆に「魅力がない」方に評価する人はほとんどいないでしょう。

では、こちらのミーガン・フォックス嬢ではどうでしょう?

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おそらくこんな評価分布です。彼女が史上もっともセクシーな存在だと思う男性たちが絶賛する一方で、彼女の映画を見た人たちの一部は「魅力がない」と評価するのではないでしょうか。

ベル嬢とは違って、フォックス嬢は男性たちに強いリアクションを引き起こし、その中にはネガティブなものさえも含まれているのです。

・一般人では?

では、先ほど例に出した一般ユーザー女性の場合はどうでしょうか。OkCupidでは人の評価に1~5の星をつけるシステムを使っているので、これ以降は評価を「1」とか「3」とかの数字で表すことにします。なお、この記事に登場するユーザーのみなさんは、そのデータをサイト上で分析することを許可してくれました。ありがとうございます。

では、こちらの方々ですが、

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ご覧の通り、彼女たちの魅力度(attractiveness)の平均値は「3.4」「3.3」と非常に近いのですが、男性からの評価の分布はまったく異なっています。左側の女性ではほぼ同意で、上から2番目の評価をヤマとしています。が、右側の女性に関しては男性の意見が割れており、「1」と「5」が同じくらいで両極端な評価を得ていることがわかります。

つまりこういうことです。

・左の女性は、絶対値という意味では右の女性より若干魅力的だと思われている

・右の女性は、最低の評価を左の女性より2.42倍も受けている

・でも右の女性は左の女性の3倍のメッセージを受け取っている

これは上の二人の女性においてたまたまこうだったのではなく、他の同様の組み合わせ(ルックスやプロフィールが同様だがメッセージ数が異なる女性二人)でも同じパターンが散見されたのです。メッセージ数の少ない女性はたいてい誰からも魅力的だと評価されていて、メッセージ数の多い女性の方は男性の評価がばらけていたのです。さらに事例を見ていきましょう。

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上記の傾向が確認できますね。これは数学オタクのがんばりどころだと思い、さらに分析してみました。

まず、女性に対する評価の標準偏差とメッセージ数を比べてみました。すると、男性の評価が分かれれば分かれるほど、男性は女性を好むことがわかりました。以下は標準偏差とメッセージ数をプロットしたグラフです。グラフの右の方に行くほど、男性の意見が割れていて、上の方ほどメッセージ数が多いということです。

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と、ご覧のように、意見が分かれれば分かれるほど、男性からのメッセージ数は多くなるという結果になりました。

(ちなみにグラフ上にプロットされたサンプルの女性は魅力度上位20パーセントに近い、つまり魅力的な女性たちです。左から以下の方々ですので、興味のある方はとっくりご覧ください。)

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次に、女性が受ける評価のパターンを分析してみました。星「1」~「5」をどういう分布で受けているかということです。

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この分析はシンプルなグラフよりちょっと小難しくなります。短く言うと、女性が得ている評価分布のカーブから、その女性がどれだけメッセージを受け取るかを予測する式を作ってみたのです。この式を使うと、男性たちの女性に対するルックス評価の値を使って、最終的にその女性がどれだけモテるかの予測値を出せるわけです。

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、男性の女性に対する評価と行動を説明するものとして面白い方程式じゃないでしょうか。

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ポイントは、「m1」とか「m2」が、ある女性に対し「1」とか「2」といった評価をした男性の人数を表すということです。絵で表すとこんな感じです。

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また、頭にプラスの数がついている項(m1、m5)はメッセージ数にプラスに寄与していて、マイナスの数が付いている項(m2、m4)はマイナスに作用します。つまりこの方程式によって以下のことが言えます。

・より多くの男性が「5」の評価をすれば、その女性へのメッセージ数は増加する

どういうことでしょう? 項「m5」の前にある「0.9」はこの式では最大のプラスの数ですが、これの意味するところは、「ある女性を最高に評価する男性の数は、メッセージ数に最大に寄与する」ということです。でもこれは、方程式とは関係なく、直感的に明らかなことですね。

同様に項「m2」、つまりある女性にイマイチな評価がある場合、メッセージ数は減少します。これも直感にマッチします。でも意外な結果になる項もあります。たとえば、こちらです。

・女性への「かわいい」という評価はメッセージ数にマイナスに働く

なぜでしょう? これは、「m4」の前にある「0.1」という係数がマイナスになっているためです。これはつまり、評価として「4」つまり平均より良いが最高ではない評価をした男性がいると、その分メッセージ数が少なくなるということです。さらに、「m1」の項にはプラスの係数が付いていることを考慮すると、我々の方程式が統計的に表しているのはこういうことです。

つまり、もし誰かから最高に評価されないのであれば、ブスだと思われた方が良い、ということです。

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おかしな結果のようですが、いろんな制約条件を変えたり、データサンプルを変えたり試してみても、こうなるのです。この結果をむしろ消したいと思っても、どうしても出てきてしまうのです。

・数学の好きな方へ

今回は、43000人の女性をサンプルに、評価パターンとメッセージ数の回帰分析をしました。一貫性を保つために、対象となる女性はすべてストレート(同性愛者でない)で、年齢は20~27歳、同じ都市在住のユーザーとしました。本文にある式は、P値が1に非常に近いm3の項を分析から外してからベストフィットとなったものです。

「msgs」は観察期間に女性が受け取ったメッセージ数です。kはサイト上の行動レベル全体を反映しています。この式のR二乗は0.28で、研究としてはあまり良いとは言えませんが、実世界を対象とした分析ではなかなかの値だと考えています。

・方程式の裏にあるものは?

上に出した結論には、パラドックスがあるように思われます。ある女性について、一部の男性が「ブス」だと思っていた方が、それ以外の男性からのメッセージは増えるのです。そして、一部の男性が「かわいい」と思っていると、それ以外の男性の興味は損なわれるのです。なぜこういうことが起こるのでしょうか? この現象には、ゲーム理論を応用すると説明がつくと思われます。

男性Aさんが、女性Bさんに非常に興味があるとしましょう。もしAさんが、他の男性たちはBさんに興味がないと考えると、競争は少ないということになります。なのでAさんはBさんにメッセージを送る動機が強められるのです。Aさんとしては、Bさんは寂しいかもしれない、評価してくれる男性を待っているかもしれない、少なくとも自分は大勢の中の一人になることはないだろう、などなどといったことを考えるかもしれませんし、そもそもBさんを本当に高く評価しているので、やる気は高まる一方で、ついにメッセージを送ることになります。

一方、ある女性は「4」の評価をたくさん受けていて、つまり「誰が見ても平均以上にかわいいが、すごくホットというわけでもない」という女性だったとすると、その人は実態より人気があるように見えるかもしれません。彼女を良いと思う男性にとっては、他の男性も彼女を評価しているだろうという印象を持つには十分な状況です。男性は、そんな競争に身を投じて彼女にメッセージを送るほどでもないと考えるかもしれません。これが、かわいい女性が損をするゆえんです。

全体像を絵にするとこんな風になります。

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・結論:じゃあどうすればいいの?

女性が誰でも男性の評価を気にしているわけでもないでしょうが、もし男性にアプローチされたいなら、上の分析は具体的にどういう意味があるんでしょうか?

基本的に、自分の魅力そのものを変えるということは難しいことです。つまり、評価が「3」の人を「4」にするのは大変です。でも、評価の分散を変えたり、分散を大きくすることはずっと容易です。そのためには、

・自分の中の、一部の男性に「ウケない」何かを選んで、それを強調すること

です。

たとえば、タトゥーやピアシングをしている女性はこの考えを本能的に実践していると言えます。彼女たちは自分を特別に見せるものを身に着けていて、それで自分を嫌う人がいても気にせず、そして結果的には男性の気を引くことに成功しているのです。

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でも今回わかったことは、タトゥーをしている人に限らず誰にでもあてはめられます。OkCupidを見ていると、自分の欠点(と思われる部分)をなるべく隠すように撮ったと思しき写真がたくさんあります。たとえば、多分太めの女性なんだけど、アップの写真にして体型がわからないようにしているのはよくある例です。

でも、欠点を隠すことは、モテるためにすべきことの真逆の行動です。ちょっとぽっちゃりであれば、それを見せつけなくてはいけません。鼻が大きいとか、歯並びが悪いとか、気になる部分をどんどん見せましょう。仮にそのせいで一部の男性から嫌われたとしても、統計的にいえばそのおかげで、好意を持ってくれる男性はさらに夢中になってくれるのですから。

OKCupid.com(原文/miho)