【四川料理のスゴい人】家庭のキッチンの火力で「プロ並みのチャーハン」をつくる方法

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一般家庭のキッチンの火力でも、おいしいチャーハンができるんです

四川料理のスゴい人、日本橋「リバヨンアタック」料理長の人長良次(ひとおさ・よしつぐ)さんに、一般家庭のキッチンで五目チャーハンを間違いなくおいしく作る方法を聞いてきました。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:一生懸命考えてですね、ご家庭のキッチンの火力でベストのチャーハンを作るためのポイントを3つに絞りました。

 

  1. チャーハン専用のお米の炊き方にこだわる
  2. チャーハン専用チャーシューを作る
  3. 玉子とお米の炒め方のポイントを知る

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:この3ポイントで、お店レベルの五目チャーハンをご自宅でも作れると思います。

 

──ほほう、チャーハン専用のチャーシュー? それは興味深い。

 

「チャーハン専用ご飯」を炊こう 

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【材料】無洗米2合(約300g)でご飯を炊く場合の水の量 

  • 浸水(1時間)させる場合:水290~300cc
  • 浸水なしの場合:水350~360cc

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:ご飯をチャーハン専用に炊きます。なんでかっていうと、普通に炊くよりもチャーハン用に炊いたほうが、より手軽に簡単に作れるんです。

 

──チャーハン用にご飯を炊くなんて発想はなかったです。これは、おいしさよりも手軽さを目指してのことなんですか。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:うーん。おいしさと手軽さ両方ですね。普通のご飯だと、どうしても水分が多くてベチャベチャになりやすい。一般の人でもプロと同じような感じでパラパラかつしっとりなチャーハンを作るために最適なご飯の炊き方を見つけたんです。

 

──おお、マジすか!

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:今日は無洗米を使います。もちろんこのまますぐ炊いてもいいんですが、できれば、お水に浸水しておいて欲しいんです。お米に水を吸わせてないと、中に若干の芯が残る。食べたときにそこがちょっと固いなと感じるんですね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:ここに1時間お水に浸した無洗米があります。浸水させない場合は水の量を350~360ccにすると近いものができます。もちろん時間がない人はそれでいいんですが、ちゃんとしたものを作りたいんだ! という人は、ぜひ「1時間浸水」にチャレンジしてください。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:浸水させたお米2合に対して、お水290ccです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:僕の炊飯器です。家から持ってきたんですよ(笑)。たいていの炊飯器には無洗米の目盛りがあるんです。この目盛りの「ちょい下」まで水をいれます。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:ここ、ここね。計量カップがない人はここの目盛りの「ちょい下」だと思ってください(笑)。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:これを炊きます(ピー)。35分。時間がもったいないんで早炊きモードで炊きます。今回はこのために何回も試作してきて出した炊き方なんです。これじゃない、あれじゃないって、結局チャーハンを8回くらい作りましたよ(笑)。

 

──いつもありがとうございまーす。

 

「チャーハン専用チャーシュー(1人前・40g)」を作る

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:適量の豚肩ロース肉を1.5センチの厚さに切って、タレに1時間漬け込み、フライパンで表10分、裏10分ほど焼きます。

 

【チャーシュー材料】

  • 豚肩ロース肉(ブロック) 適量
  • 醤油 240cc
  • 砂糖 150g
  • オイスターソース 70g
  • もろみみそ 50g

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:チャーシューを焼きましょう。今回は豚肩ロース肉(ブロック)を使います。

 

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──ずいぶんとでっかい肉ですね(笑)。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:こんなのスーパーで買えないよってときは、こっちでもいいです。スーパーで売ってるパック入りの豚肩ロースです。

 

──よかった。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:なんなら、カレー用の角切りの豚肩ロースってスーパーで売ってるじゃないですか。あれでも大丈夫です。

 

──ホントですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:そこは、漬ける時間だけを調整してくれればいいです。それはそれとして、この肉、せっかくだから切りますか?

 

──切ってるところを見せたいくせにー。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:あー、うん、まあね(笑)。さ、脂を取っていきます。

 

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──その脂がおいしかったりするんですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:もっといいブランド豚、たとえばイベリコとかアグーとかだったらいいんですけどね。ウチのお店だと切り落とした脂身をスープに入れたり。

 

──あっ、それもいいですね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:あと、お店は焼売も全部手作りで提供しているんですけど、焼売のアンコにこれをボイルしたものを刻んで、ちょっと入れたりします。

 

──それはちょっとうれしい豆知識。マネしたいです。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:おいしいっすよ!

 

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──ところでチャーシューって煮て作っているお店もあるじゃないですか。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:チャーハン用のチャーシューに関しては、絶対に焼きましょう。お店の場合、煮るチャーシューはチャーシュー麺に使っています。前菜で出す炙りチャーシューも、煮チャーシューです。

 

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──なんと? チャーシューを目的別に作り分けているんですか。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:はい。チャーハン用のチャーシューにするなら絶対「焼き」がうまいです、絶対! ここはもう、譲れないっ。お店のはスチームコンベクションオーブンで焼きますけど、今日はフライパンでできるチャーシューなので、ご安心ください。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:豚肩ロース、切る厚さは1.5センチです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:切ったお肉をこのフォークでブスブス穴を開けて、味が入りやすくします。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:しつこいくらいに刺しましょう(笑)。ひっくり返して反対側も。どりゃー。

 

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──親の仇のように刺しますね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:そしたらこれを1時間タレに漬け込みます。次にタレを作りましょう。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:タレのポイントは、この「もろみ味噌」。もろみ味噌って、大麦とか麹が入ってるんです。この麹がお肉を柔らかくして、あとこの味がコクや深みを出してくれるという。これ、スーパーで100円くらいで売ってますから。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:ボウルにお砂糖150グラム。

 

──150グラム(笑)。すごい量だ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:お醤油を240cc入れます。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:オイスターソースを70グラム。

 

──けっこうな量のオイスターソースを入れるんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:ケチらずいきましょう。最高のチャーハンのためです。次にもろみ味噌が50グラム。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:これを混ぜ混ぜします。中の砂糖がしっかり溶けるまで混ぜるのが目安です。チャーシューって作るのが大変そうなイメージですけど、実は下準備は「混ぜて漬けるだけ」なんです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:で、ここにお肉を漬けるんですが、肉に対してタレが多すぎるんじゃないかという場合もあるでしょう。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:ビニール袋に肉を入れて、タレを入れて。こうするとタレが半分でできます。

 

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──タレを作る量が半分でもオッケー?

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:そうです。いっぱい作りたい人はそのままの量で。もみもみして、空気を抜きます。くるんとして縛って、1時間ほど漬けておきます。

 

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──さすがの手つき。驚異的に空気が抜けますね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:そして1時間経ったものがこちらでーす(笑)。

 

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──まあ! なんというお手際っ。これ、今回のチャーハンに使うチャーシューの量としては40グラムですけど、作るときはもっとたくさん作ってもいいということですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:さっきのスーパーの角切りの肉を使うと、もっと少ない量の肉でも作れますし、その場合はタレの量を加減してもらうといいですね。
これは1.5センチ厚で1時間ほど漬けました。カレー用のお肉とかであれば30分で味は入ります。小さい方が早くタレが染み込みます。でも、お肉が大きいと見た目も楽しいですし、なによりジューシーにできあがります。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:残ったタレは冷凍しておくとまた使えるので、作りすぎても安心です。砂糖と塩が多く入っているので、凍らないんですよ。

 

──ああ、不凍液になるんだ。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:シャーベット状になりますので、そのまま肉を漬けてもいいですね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:さっそく焼いていきましょう。クッキングシートをフライパンに敷いてください。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:お肉をのっけてから、火を点けます。フライパンを熱くしてからだと火傷しやすいので。火はいったん全開(強火)です。

 

──このための1.5センチ厚なんですね。これ以上厚くなると……。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:焼き時間が長くなってしまいますね。私の実験結果だと、1.5センチの肉の場合で表10分、裏10分でいい感じになりました。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:お肉のまわりの表面がパチパチしてくるまで強火です。ほらここ、パチパチいい始めましたよ。パチパチしたら中火にして、タイマースタートです。

 

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(5分経過)

 

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──チャーシュー、すごくいい香りがしますね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:もちろん、スーパーやコンビニで売っているチャーシューを使っても大丈夫なんですけど、今回は「基本的な五目チャーハンをご家庭でおいしく作りたい」というのがまず最初にあって。チャーハンで大事なことって、ご飯がパラパラしてることも大事なんですけど、僕は味のキモとなるチャーシューが一番大事だと思っているんです。

 

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──このお店でも、チャーハン用のチャーシューだけ別に作ってるほどですもんね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:そう、それ。みなさんにもそれを体験してもらいたい! なので、ちょっと手間なんですけど、チャーシューを焼くというところからやっています。中華料理って、8割が準備なんです。残りの2割で仕上げるんです。
僕らのお店でもそうなんですけど、スタッフみんながその8割のことを集中して用意してくれて、僕が2割の仕上げをやらせてもらってる。中華は下準備が大事。だからこそ、オーダーが入ってからパパッと作れるんです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:そろそろ10分。こんな感じです。

 

──おおー。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:ディス・イズ・チャーシューって感じでしょ。ひっくり返したらちょっと弱火にしてあげて、これでまた10分です。

 

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(10分経過)タイマー:ピピピピッ

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:チャーシューが焼けました。ほらほら、もろみ味噌の麹が良い感じに焼けて、すごく香ばしいですよね。甘みだけじゃなくて、ほどよい香ばしさ。これがうま味になってくるんですよ。 

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:あ。大事なことですけど。これ、焼けてもすぐには切らないでほしいです。なぜなら、肉汁が出ちゃうから。常温になるまで冷ましておいてから、切る。すると肉の中にちゃんとうま味が凝縮された状態になります。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:右が焼きたてのものです。左が冷ましたもの。ここまで温度が落ち着いてくると、切っても肉汁が逃げちゃうことはないです。

 

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 f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:1.5センチのチャーシューをさらに半分の厚さに切ります。

 

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──うっわー、きれーい! きれいな断面ですよ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:これをこのままこうやって。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:細切りからの、小さい角切りにします。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:角切りにする理由は「食べやすいから」「混ざりやすいから」ですね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:このチャーシューも全部は使わないので、残りはラップで包んで冷凍して何か別の料理に使ってもいいし、おつまみにして食べてもいいです。今回のレシピに使うチャーハン専用チャーシューは、もちろん市販のもので代用してもいいんですが、ぜひこのレシピでチャーシューを作ってみて欲しいですね。仕上がりが違いますから。

 

「最高のチャーハン」の仕上げ①:具材を刻む、卵を溶く

【材料・1人前】

  • 角切りにしたチャーシュー 40g
  • 万能ネギ 10g
  • 高菜 10g(漬物ならだいたいOK。野沢菜、たくあん、ザーサイなど)
  • 卵Lサイズ 1個

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:ご飯を炊いて、チャーシューを焼いてる間に、材料を切っておくといいですね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:そしたらネギ。10グラムですね。なんならスーパーにあるカット済の青ネギ、あれ買いましょう。僕もよく買います。それはそれとして、今日はもう万能ネギを用意しちゃったんで切りますね。このくらいのみじん切りにします。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:次に、漬物を刻みます。要は、チャーハンに漬物を入れるということがポイントなんです。味がすごく出て、それがすごくおいしいので。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:今日は高菜の漬物を使ってます。けど、野沢菜とかタクアンとか、コンビニでもザーサイとかが売ってますよね。おつまみの。なんでも大丈夫です。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:その代わり、ぬか漬けとか柴漬けとか、いぶりがっことかね。クセの強い漬物は避けましょう。せっかくおいしいチャーシューを使っているのに、そのおいしさとぶつかってしまうんです。僕がオススメしたいのは高菜の漬物ですね。

 

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──これもみじん切りですね。漬物を刻むのは三拍子のリズムなんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:重ねて切ったじゃないですか。ズルっと滑ったりしたら危ないので、短めの三拍子にしました。実はこないだ、手を切っちゃったんですよ。スライサーを掃除しててズルって。包丁で切らないで、そういうとこで切っちゃう。気を抜くとケガしますね。おっちょこちょいなんで。はい、切りものはこれでおしまいですよ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:卵を割って。すぱーん。シャキーン!

 

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──なにそのポーズ?

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:殻が入らないように丁寧にやることで、自然になってしまうポーズです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:卵を溶いてください。カラザ(※たまごを割ったときに卵白に混じっている白いひも状のもの)が嫌な人は外してください。僕は気にしません。

 

「最高のチャーハン」の仕上げ②:「慌てずに、ゆっくり」炒める

【材料】

  • ご飯 200g(お茶碗1杯分)
  • 塩 1g
  • 胡椒 適量
  • サラダ油 大さじ1(15cc)
  • 料理酒 小さじ1(5cc)
  • 醤油 小さじ1(5cc)

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──さあさあ、あとはご飯と炒めるだけですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:あっ、ここ注意。炊けたご飯はすぐには使わず、10分くらい蒸らしておくとおいしいです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:ご飯が200グラム。茶碗だいたい1杯強くらい。ちゃんと計りましょうね。作るときは、できれば1人分、この量でやってほしいんです。めんどくさいですけど、作るのは1回3分でできるんで。おいしく作りやすいのがこの量なんですよ。

 

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──やはりチャーハンは作り始めると電光石火の早業でできたりするんですか。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:いやいや。今回は焦らずゆっくりチャーハンを作る方法なんです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:まずサラダ油を大さじ1入れます。火を点けます。強火の全開にしてください。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:フライパンが温まると油が流れるようになるので、卵を入れる前に火を消します。火を消してから、卵を入れるんです。

 

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──ジュウともいわない。温度が低い。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:そしたら。スパテラで、いーち、にー、さーん、しー、ごーって言いながら、ゆっくり混ぜます。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:ゆーっくり混ぜてください。1往復を2秒くらいのゆっくりさです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:この、オムレツの出来損ないみたいな感じにしてください。強い火力で、菜箸ですばやく混ぜるとパラパラのスクランブルエッグみたいになっちゃうんです。火を止めた状態で、ゆっくり混ぜるのがポイントです。

 

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──ああ、なるほどたしかに「まとまってないオムレツ」みたいです。生オムレツというか。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:で、ここに先ほどつくった炊きたて熱々のご飯を入れます! 茶碗大盛り、200グラム。

 

──生オムレツの上にご飯ですね。まだ火は点けないままですか。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:まだ火は点けずにお願いします。で、ご飯を切るようにして混ぜます。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:これこれ。この感じ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:卵が全体に馴染んできました。

 

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──あっ! こりゃ半熟オムレツに熱々のご飯を混ぜ込むメソッド。チャーハンレシピの二大派閥、「先に卵を炒める」と「TKGを作って炒める」の中間、新しいチャーハン派閥「半生オムレツに炊きたてご飯を混ぜる」の誕生ですか! マジやべえ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:ああ。ちなみに焼きTKGはですね、両面を焼き固めて、もろみ味噌を塗って食べるとおいしいですよね。

 

──そんなん……ぜったいうまいやん。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:ここに具を入れます。まだ火は点けてませんよ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:チャーシューが4、ネギが1、高菜が1。4:1:1。この黄金比を覚えておいてください。いままで僕がやった中でベストな比率なんですよー。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:高菜が多すぎるとしょっぱくなっちゃうし、ネギが少ないと風味がなくなっちゃうし。4:1:1がベストでしたね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:お塩、ひとつまみです。ドバッと入れないで、全体にまぶす。味がひとつのところに偏って「しょっぺ!」ってなるんで。均等に入れてください。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:胡椒。適量ですね。チャーシューと漬物でうまみ要素はそろっているので、塩、胡椒、そして仕上げの醤油以外に調味料は使いませんよ。

 

──意外です。なんか中華調味料とかが必要なのかと思ってました。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:具材だけで充分おいしさが出ているので、使う理由がないんです。はい、ここでやっと火を点けます。ここまではガマンして、火を止めているんです。そしていまから火は全開(強火)にしてください。

 

──ぜんぜん慌てないで作れてますね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:ご飯を炊く水の量をうまく計ってやっているので、慌てなくてもおいしくできるんです。ご飯と水の計量がここで生きてくるんですよ。

 

──なるほど、チャーハン専用のご飯を炊く意味がここで。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:ちなみにお店の場合、火力が強いので、チャーハンはオーダーされてから1分で作れるんです。家庭のキッチンだとそんな火力、ないじゃないですか。その条件でどうやっておいしく作ろうかってなると、ご飯の炊き方だったり、卵の入れ方だったりでちょっと工夫をすると。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:全体に火が入るように混ぜながら炒めます。炒めの目安は、えーと、2分ですね。こう、湯気が出てきます。ご飯や具が温まってきた証拠ですね。強火で炒めて水分が飛んでる状態。もうけっこうパラパラになってきたでしょう。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:炒め終わったら1回火を消して、味をみます。

 

──醤油を入れる前に味見、と。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:うん、オッケー。ここでチャーハンをドーナツ状にしてください。真ん中に穴を開けまーす。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:また火を点けて。ここも強火にしてください。お醤油、小さじ1杯を、ここ(ドーナツの穴)に入れて、ジュッとお醤油を焼いてください。

 

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──うわー! 醤油を入れても、すぐには混ぜないという。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:醤油を強火で焼いてから、混ぜてあげるんです。すると醤油の香ばしい香りが立ってくる。

 

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──醤油が焼けていい香りがするーっ。いわゆる「鍋肌から注ぐ」の理屈を、こうやって別方向から再現できるんすね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:ご家庭の場合は火力が弱いんで、鍋肌からだと香ばしく焦げる前にすぐ混ざっちゃうんですよ。せっかくなら香ばしくしたいじゃないですか。

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:最後にお酒(料理酒)を小さじ1。水でもいいですけど、お酒のほうが香りがいいんですね。ただし、お子さんに食べさせる場合は水のほうがいいですね。火力の問題でアルコールが飛び切らないかもしれないので。

 

──醤油はフライパンで焼きますが、お酒はチャーハン全体にふりかけるんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:米にお酒の蒸気を吸わせてふわっとさせるんです。パラパラかつしっとりしたチャーハンになります。で、お酒を入れたら火を止めて完成です。お醤油は香りの役割。お酒はチャーハンを「ふわっとさせる」ための役割です。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:僕のイメージするチャーハンは、「パラパラだけど、しっとりしてる」。それをモットーとしてお店でずっと作ってます。パラパラだけどしっとりしてるチャーハンをご家庭でも再現するために、最後にお酒を入れました。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:これで完成です。

 

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食べましょう

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──なにやら禅僧のような佇まいですが、たぶんカメラテストのときの写真ですね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:いい感じでできました。おいしいー!

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:なによりこれが家庭用のフライパンで、家庭の火力できるというのが楽しい。

 

──料理人としては自分でもびっくりですか。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:驚きですよ。もう、カセットコンロの火力でいいじゃんって思いますね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:今日のポイントはこれこれ。このチャーハン専用チャーシューです。チャーハンの味の決め手はチャーシューなんです。チャーハン専用にチャーシューを焼くってことを、みなさんにも試してみてほしいんですよね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:以前この連載で作ったラー油をトッピングにするのもおすすめなんです。

 

www.hotpepper.jp

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:特製ラー油の、この粉の部分を……ですね。

 

──マットな質感ですわー。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:ラー油の底に沈んでいるこの粉を、オンします。で、まぜまぜして。

 

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──あらあら。そんなにたくさん。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:うん、うまい、辛い、めっちゃ辛い! これはうまいっしょ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:先に辛くないのを食べて感動して、そして味変でラー油で辛くして。また感動ですよ。

 

──か、感動とは。僕も食べていいすか。(もぐもぐ)わあああ、チャーシュー、納得です! 正直、あんなにゆっくり炒めて大丈夫かと思ってましたが、いやいやちゃんとパラパラでしっとり。そして今日イチ感動したのは「半生オムレツにご飯を混ぜ込む」チャーハン第3の派閥の誕生ですよ。

 

おまけ

人長さんのお店で使うチャーハン用のチャーシュー作りを実演してもらいましたよ。

ちょうど仕込みがあったのです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:タレにつけておいた肉です。赤いのはですね、えーと、いろんなものが入ってます。秘伝のタレが。秘伝の材料はプロ用なので入手できません。今回紹介したレシピは、もろみ味噌をその代用にしているんです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:中国では赤は縁起がいい色でして。それに食欲も誘いますし。赤くしたいので漬けダレに色味を入れています。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:スチームコンベクションオーブン(以下・スチコン)のバットに並べます。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:このチャーシューはお店で単品では出してなくて、チャーハンのためだけに作ってるんですよ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:こちらのスチコンで焼きます。蒸気の熱で調理するプロ用のマシンです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:スチコンのブザーが鳴ればチャーシューを裏返す時間です。取り出してひっくり返して、また裏面を焼くと。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:完成。チャーハン専用に焼いてるチャーシューです。おいしそうに撮ってくださいねー。

 

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──こう撮ると食材じゃなくて電車みたいですね。大崎の車両基地っぽい。おもしれえ。

 

f:id:Meshi2_IB:20190926183552p:plain人長:……おいしそうに撮ってくださいね。

 

人長さんが作った「プロの五目チャーハン」が食べたくなったら

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▲五目炒飯(ハーフ 715円・フルサイズ 1,045円)

 

最近は『メシ通』を読んだお客さんが来てくれることが増えたというリバヨンアタック。

ある日など、お客さんから「シェフを呼んでくれ」とお声がかかり、テーブルに行ったら「一緒に写真撮ってください、妻がファンなんです」なんてこともあったという。

そんな人長さんのお店、リバヨンアタックに行って、専用チャーシューで作られたプロスペックの五目チャーハンもぜひ味わってみていただきたい!

 

撮影:沼田学

 

お店情報

リバヨンアタック

住所:東京都中央区日本橋室町3-4-4 OVOL日本橋ビルB1F
電話番号:03-3548-0840
営業時間:ランチ/月曜日〜土曜日11:30~15:00(14:30 LO)、祝日11:30~14:30(14:00 LO)
ディナー/平日17:30~翌0:30※金曜日のみ翌1:00まで(23:00 FLO/24:00 DLO)、土曜日17:30〜翌0:00(23:00 FLO/23:30 DLO)、祝日17:30〜22:00(21:00 FLO/21:30 DLO)
定休日:日曜日(20名様以上のご予約の場合は、営業させて頂きます)

www.hotpepper.jp

 

書いた人:鷲谷憲樹

鷲谷憲樹

フリー編集者。ライフハック系の書籍編集、専門学校講師、映像作品のレビュアー、社団法人系の広報誌デザイン、カードゲーム「中二病ポーカー」エバンジェリストなど落ち着かない経歴を持つ器用貧乏。

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