世の中、おいしい食材はたーくさんありますが、どんなものでも旬にいただくのがやっぱり一番ですよね。旬の時期の方がおいしいし、なんだか食材が生き生きしている感じがするのです。
今まさに、そんな旬を迎えているのが「じゅんさい」。
日本食で珍重される「じゅんさい」とは?
「じゅんさい」は、沼や池に自生するスイレン科の植物です。沼底に根を張り、そこからたくさんの茎を伸ばし、水面に楕円形の葉を広げます。
収穫期は5月上旬〜8月下旬。その頃のじゅんさい沼は、鮮やかな緑の葉で一面を覆われます。美しい沼の様子は後ほど!
食べるのは、水面下にある新芽。ゼリー状のぬめりに覆われていて、つるんっとした喉越しとぷるぷるの食感が特徴で、古くから日本料理では珍重されてきました。そして、この独特のフォルム。面白くって、よーく見ているとなんだかかわいらしい……。
秋田県三種町が「じゅんさい」の生産日本一。秋田県外では、比較的高級な日本料理店で出されることが多いのですが、秋田県民にとってはおなじみの食材です。知らない人にとっては、ちょっと不思議な食材かもしれませんね。
6月は収穫の最盛期! そこで、旬の「じゅんさい」を求めて秋田県三種町へ行ってきました!
日本一の「じゅんさい」生産地・秋田県三種町に行ってきた
今回、お邪魔したのは「じゅんさい」の栽培、販売をしている安藤食品。ここには、昔から続く「じゅんさい」栽培を若い力で盛り上げているじゅんさいブラザーズなる方がいらっしゃるのです。お話をうかがったのは、じゅんさいブラザーズのじゅんさい次郎こと近藤大樹さん。
近藤さんは、ドローンで撮影した緑が美しいじゅんさい沼や、ぷるんとしたツヤのある「じゅんさい」の写真などを、ホームページやSNSに掲載し、今まであまり知られていなかった「じゅんさい」の新たな魅力を伝えています。
ーー今回は、「じゅんさい」の収穫がまさに最盛期と知ってうかがったのですが、どうやって収穫しているんですか?
近藤さん:じゅんさい沼で、小舟に乗って一粒一粒手で摘み取って、収穫するんですよ。長い時は、朝8時から夕方5時くらいまで採ったりします。休憩する間も惜しんで、舟の上でお茶を飲んだり、おにぎりを食べたりすることもあるんですよ。
ーーなるほど。かなり根気のいる作業ですね。1日にどの位の量が採れるんですか?
近藤さん:多いときだと、1日に300kgくらいですかね。一人で30kg以上採ったりしますよ。
ーー300kg!! それって、この小さな「じゅんさい」だと、相当の量ですね! すごい!
近藤さん:今日もじゅんさい沼で収穫作業をしているので、一緒に行って「じゅんさい」採ってみますか?
ーーえ!? いいんですか? というか、初めてでもできるものなんですか?
近藤さん:大丈夫ですよ! すぐ近くなんで行ってみましょ!
ということで、安藤食品のじゅんさい沼へ。
じゅんさい沼で「じゅんさい」を採ってみた
わわわーーーーー!
なんということでしょう! 美しい!! 想像以上にキレイな景色にびっくり!
近藤さん:では、さっそく舟に乗ってみましょう!
ーーちょっとこわいー。あれ? 乗ってみたら意外と安定感ありますね。
近藤さん:あそこに「じゅんさい」を採っているおばあちゃんがいるので、舟でそこまで行って摘み方を教えてもらいましょう。
ーーよいしょ。よいしょ。お母さん、こんにちは。
おばあちゃん(工藤さん):あいー。なにしでだ?(あれ、何してるの?)
ーー「じゅんさい」の摘み取り方を教えてもらいたくって。
おばあちゃん(工藤さん):んだが。せばこごさ「じゅんさい」あるがら、採ってみれ(そうなのね。そうしたらここに「じゅんさい」あるから、採ってみなさい)。
ーーどうやって採るんですか?
おばあちゃん(工藤さん):「じゅんさい」の下さ、ちっちゃいのついでるがら、その根元を親指の爪で切ってみれ(「じゅんさい」の下に、ちいさい芽がついてるから、その根元を親指の爪で切ってみなさい)。
ーーなるほど。では、いざ初収穫! わっ。葉っぱの裏も茎もみんなぬるぬるしてるー。しっかりつかまないと、つるんと逃げちゃいますね。
ーーえいっ。
おばあちゃん(工藤さん):とれだが?(採れたか?)
ーー採れたー!!!
ーーわ! ぷるっぷる! ゼリーの部分がキラキラ光ってキレイ!
でも、こうやって葉をかき分けて「じゅんさい」を探して、ひとつひとつ摘み取るのって結構時間かかりますよね。このざるに入っている量は、どの位で採ったんですか?
おばあちゃん(工藤さん):うーん。だいたい30分くらいだべか。
ーーさすが! プロの仕事ですね! ありがとうございました!
今回初めて「じゅんさい」の摘み取りをさせてもらいましたが、水中の宝探しをしているみたいで、思わず夢中になってしまいそうでした。とっても楽しかったです!
安藤食品では、普段は「じゅんさい」の摘み取り体験はできませんが、三種町の観光情報センターじゅんさいJAPANで、5月〜8月中旬頃まで「じゅんさい」の摘み取り体験の受付をしています。初めてでも意外と簡単に摘み取りできるので、ぜひ体験してみては?
さて、こうして採れたての「じゅんさい」を手に入れることができました!
ーー近藤さん! この採れたてぷるぷるの「じゅんさい」のおいしい食べ方教えてください!
近藤さん:そうですね。さっと湯通ししてわさび醤油で食べたり、じゅんさい鍋がオススメです。
ーー夏なのに、鍋ですか!
近藤さん:地元では、「生じゅんさい」が食べられる夏に食べるんですよ。私も子どもの頃から、よく食べていました。あとは、うどんやそばなどの麺類にトッピングしたり、少し変わったのだと天ぷらにして食べる方法もあります。
ーーさっそく家でやってみますね! ありがとうございました!
ということで「じゅんさい」を愛してやまない、近藤さんイチ押しのすぐできる簡単「じゅんさい」メニュー作ってみました。
夏にピッタリ!「じゅんさい」のわさび醤油
【材料】(作りやすい分量)
- じゅんさい 100〜200g
- わさび 適量
- 醤油 適量
【作り方】
1.「じゅんさい」を水の入ったボウルに入れ、軽く洗います(この時、「じゅんさい」のぬめりが落ちないように、優しくね)。
2.沸騰したたっぷりのお湯に入れ、1〜2分ゆでます。「じゅんさい」が、写真のように鮮やかな緑色になったタイミングですくい上げ、氷水で冷やします。
3.「じゅんさい」が冷えたら、醤油とわさびで召し上がれ。
いただきまーす! んー、ぷるんっぷるん!!
ぷるぷるすぎて箸でつかむのもひと苦労です。そして、この「じゅんさい」の食感と、わさびのピリッとした辛みがなんとも爽やか〜! 暑い日にはつめたく冷やした「じゅんさい」で、お酒を楽しむのもいいですね。ビールもいいけど、なんだか日本酒が飲みたくなるお味です。
秋田県三種町のソウルフード! じゅんさい鍋
【材料】(2〜3人分)
- じゅんさい 400〜500g
- 鶏もも肉 200〜300g
- ごぼう 1本
- まいたけ 1パック
- だまこ 12個orきりたんぽ 4〜5本
- 比内地鶏スープ 200g
- 水 1200ml
※きりたんぽはスーパーなどで市販品もあります。だまこの作り方は、
この鍋を食べずして冬を終わらすな! 「秋田だまこ鍋」のつくりかた教えます - メシ通
この記事で、白央篤司さんが丁寧に紹介してくださっています!
【作り方】
1.「じゅんさい」は、水で軽く洗う。鶏もも肉は、一口大にカットし、ごぼうはささがきに。まいたけは、食べやすい大きさに手でほぐします。きりたんぽを使用する場合は、食べやすい大きさに切ります。
2.使用する比内地鶏スープに記載された分量の水(今回は1200ml)と、ごぼうを入れ火にかける。沸騰したら、鶏もも肉を入れる。
3.鶏もも肉に火が通ったら、比内地鶏スープをいれる。沸騰したら、まいたけとだまこ or きりたんぽをいれる。
4.食べる直前に、「じゅんさい」を入れて、「じゅんさい」の色がキレイな緑色になったら完成!
う、うまーーーい!!
比内地鶏のダシがたっぷり出た醤油味のスープに、つるりとした喉越しの「じゅんさい」が最高にあいます!「じゅんさい」が、あっつあつなので気をつけて食べましょう。だまこやきりたんぽが手に入らない場合は、〆にうどんを入れて食べるのがオススメですよ。これは、ハマる〜。夏に鍋もいいかも!
「じゅんさい」は、安藤食品のウェブサイトから注文できます。5月下旬〜8月下旬頃まで味わえる「生じゅんさい」は、500g・1,480円〜。生じゅんさいをゆでて酢漬けにした「じゅんさい」の水煮は通年購入でき、60g・324円〜。
また、秋田県外でも大きなスーパーや百貨店なら、取り扱っているお店もあるようです。
ぷるぷる食感がクセになる「じゅんさい」は、おつまみに鍋にと、簡単な調理で食べられるおいしい食材でした! まだ食べたことがない人は、ぜひ一度お試しあれー!
お店情報
株式会社安藤食品
住所:秋田県山本郡三種町森岳字泉八日138
電話番号:0185-83-2165
営業時間:9:00〜17:00
定休日:土曜日・日曜日・祝日
ウェブサイト:じゅんさい・きりたんぽ鍋の安藤食品、じゅんさい次郎Instagram
※この記事は2017年6月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。
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