Xiaomi日本参入へ 本社担当者を緊急インタビュー 日本市場でも「コスパ重視」

» 2019年11月15日 17時54分 公開
[田中聡ITmedia]

 中国のXiaomi(シャオミ)が日本のスマートフォン市場に進出する――。日経新聞が11月4日に報じ、Xiaomiのマーケティング担当バイスゼネラルマネージャのZhiyuan Zang氏がSNSで「2020年に日本市場に参入する」旨の発言をしたことで、現実味を帯びてきた。

 そのZhiyuan氏と、東アジア地域の海外事業ゼネラルマネージャのSteven Wang氏が来日。同社の新製品や日本参入について、お話を聞くことができた。

Xiaomi Zhiyuan Zang氏がweiboで日本に参入する旨を投稿している
XiaomiXiaomi Zhiyuan Zang氏(写真=左)とSteven Wang氏(写真=右)

リーズナブルな値段で品質の良いものを提供する

 Xiaomiは、創業9年を迎えた新興メーカー。スマートフォンに加え、Wi-Fiルーター、スマートバンド、ワイヤレスイヤフォン、ロボット掃除機、スマートTV、モバイルバッテリーなど、幅広い家電製品を手掛けている。2017年には15億USドルの売り上げを突破した。他社を見ると、Googleは売り上げ15億ドルの突破に9年、Facebookは12年、Appleは20年かかっており、7年で突破したXiaomiの急成長ぶりがうかがえる。

 スマートフォンは世界80カ国に進出しており、うち42カ国でトップ5のシェアを獲得。世界全体で見ると、XiaomiはSamsung Electronics、Huawei、Appleに次ぐ4位。2018年に進出した西欧市場もシェア4位に上り詰めた。

 IoTにも注力しており、スマートフォンと連携できる家電を増やすべく、パートナー提携にも努める。直近ではIKEAやフィリップスと提携し、これら2社の家電をXiaomiの「Mi Home」アプリから操作できるようにした。

Xiaomi スマートフォンをはじめ、さまざまな家電を展開している

 Xiaomiは「リーズナブルな価格で品質の良いものを提供すること」(Wang氏)を信条としており、同氏はそこでの競争力にも自信を見せる。「高いイメージのハイテク製品を安く提供して、ハイテクの楽しさをお客さんに感じてもらう。誰でも買える製品を目指す」とWang氏は語った。

1億800万画素カメラを搭載した「Mi CC9 Pro」「Mi Note 10」

 この考えはスマートフォンも例外ではなく、Xiaomiはハイエンド機をミッドレンジ並みの価格帯で投入することも多い。例えば11月に中国で発表した「Mi CC9 Pro」は、1億800万画素カメラを搭載したハイエンドモデルだが、価格は2799元(約4万4000円)。同じく11月にはMi CC9 Proの同スペックの「Mi Note 10」をスペインで発表しており、価格は549ユーロ(約6万6000円)。

Xiaomi グローバルで展開する「Mi Note 10」

 Mi Note 10は6.47型のフルHD+ディスプレイ(有機EL)を搭載しており、両面のガラスは3D曲面形状となっている。ディスプレイ内に内蔵している指紋センサーは、Zang氏によると世界最薄だという。背面には、1億800万画素の標準カメラ、1200万画素のポートレートカメラ、2000万画素の超広角カメラ、500万画素の望遠カメラ、200万画素のマクロカメラという5眼構成。最大10倍のハイブリッドズームと、最大50倍のデジタルズームが可能だ。

Xiaomi 「世界初の1億800万画素カメラ」をうたう

 1億800万画素カメラには1/1.33型という大型のセンサーを採用しており、Zang氏は1万2032×9024ピクセルという高精細な写真を撮影できることを強調する。このセンサーはSamsungと共同開発したもので、完成に2年掛かったという。実際にMi CC9 Proで撮影した作例を見せてもらったが、人物は拡大すると肌の質感がリアルに分かり、スタジオにたたずむ女性モデルの手元をアップして、手にしているカメレオンの表面までもがクッキリと確認できた。

 よりスペックの高い「Mi CC9 Pro Premium Edition」は、カメラ評価機関の「DXO MARK」でHuaweiの最新フラグシップ機「HUAWEI Mate 30 Pro」と並ぶ首位(121ポイント)にランクイン。単に画素数が高いだけでなく、画質の高さにも期待できる。

Xiaomi 「MI CC9 Pro Premium Edition」(グローバルでは「Mi Note 10 Pro」)で撮影した写真
Xiaomi Mi Note 10の主なスペック

「Mi MIX Alpha」は「完成までにまだ時間がかかる」

 Xiaomiは、背面までディスプレイで覆われた「Mi MIX Alpha」というスマートフォンも9月に発表して話題を集めた。こちらは1万9999元(約30万円)で発売する計画だ。ユーザー調査で、「こういう商品があったらいい」という声が多かったことが、開発のきっかけだったそうだ。

Xiaomi 裏側まで画面で覆われた「Mi MIX Alpha」

 Zang氏はこのMi MIX Alphaの試作機を持参して、披露してくれた。残念ながら写真撮影はできなかったが、しっかりと動作することを確認できた。こちらにも、Samsungと共同開発した1億800万画素カメラを搭載。中国では5Gスマートフォンとしての発売を想定しているそうだが、発売時期は未定。Zang氏は「完璧な製品ができるまで時間がかかる」と述べた。

日本には、カメラやスマートフォンに詳しいお客さんが大勢いる

 ウワサされていた日本参入については「今後日本市場に進出するつもりです」とZang氏は認めた。ただし、参入する具体的な時期や、どんなスマートフォンを日本に投入するかは、現時点では決まっていないという。

 日本参入を決めた理由についてWang氏は「日本市場は規模がとても大きい、他国と比べて、カメラやスマートフォンに詳しいお客さんが大勢いるから」と語る。また「10月からの法改正(電気通信事業法の改正)や、日本で5Gがどういう変化をもたらすかに期待している」と話す。改正法で通信と端末の分離が義務付けられたことでより参入障壁が小さくなり、2020年春に商用サービスが開始する5Gも良いきっかけだと捉えているようだ。

【更新:2019年11月15日22時58分 日本の参入理由について、一部追記しました。】

 なお、スマートフォンはSIMフリー市場に投入するのか、キャリア向けに納入するかについては「まだ言えない」とのこと。日本でニーズの高いFeliCaの対応については「決済については何も言えない。日本のお客さんのニーズに応えられるようにしたい」とWang氏は述べた。

 Wang氏は「日本人がスマートフォンに対してどんなスペックが気になりますか? カメラか、CPUか、RAM(メモリ)か、ROM(ストレージ)か?」と逆に質問し、まだ日本市場についてはリサーチ中という様子だった。筆者が「防水とFeliCaが好まれる」と話すと、「日本人が防水を重視する理由は、お風呂が好きだから?」との反応だった。

 気になる価格帯については「日本市場でも、コストパフォーマンスの高いものを提供したい」とWang氏。日本では3万〜4万円台のミッドレンジ機が人気だが、ここで真っ向勝負をしつつ、さらに風穴を開けてくれるような製品の登場に期待したい。その筆頭候補として挙がるのが「Mi Note 10」だが、果たして。

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