家庭内暴力被害の中1女子、大学生が救う

2017/07/05 23:45

女子生徒を保護し、関貫晴夫署長から感謝状を受け取った関西学院大の森田悠斗さん=宝塚署

 父親から暴力を振るわれていた兵庫県西宮市内の中学1年の女子生徒(12)の保護に尽力したとして宝塚署は4日、関西学院大2年の森田悠斗さん(19)=宝塚市=に署長感謝状を贈った。森田さんは女子生徒の気持ちをほぐして窮状を聞き出し、県警に連絡した。 関連ニュース マンション階下で火災、駆け付けた部屋には煙が充満…冷静に消火器で消し止めた夫妻を表彰 加古川 住民の足を支える「ランランバス」運行に感謝状 宝塚の月見山と長寿ガ丘地区 市が事業者と利用促進団体に 幼なじみの女性からSNSで送金依頼、実はなりすまし コンビニ経営者らが「ロマンス詐欺」防ぐ

 6月2日夜、森田さんは阪急門戸厄神駅近くの商店の前で、雨宿りする女子生徒に気付いた。大雨で雷も鳴っていたため、持っていた傘を手渡した。そのまま帰ろうとしたが、女子中学生が追いかけてきて、涙を流しながら「家に帰れない。父親に殴られている」と打ち明けたという。
 森田さんは警察に行くことを勧めたが、女子生徒が嫌がったため、大学の後輩の女性を呼び、森田さんの自宅で話をすることにした。ジュースとお菓子を出し、後輩の女性とともに約2時間話を聞いた。女子生徒は徐々に打ち解け、時折笑顔も見せるようになった。
 森田さんは話を聞く中で、父親の暴力は「しつけとは違う」と感じた。顔を殴られていると話す女子生徒は、マスクを一度も取らなかった。「父親と顔を合わすと殴られる」といい、父親が起きる前に学校に行き、夜は父親が就寝してから家に帰る生活を続けていると打ち明けた。
 森田さんは「助けてあげなくては」と思い、「県警なんでも相談電話(#9110)」に通報。女子生徒は児童相談所に保護され、現在、父親とは離れて暮らしているという。
 県警によると、1~5月に寄せられた児童虐待に関する相談は宝塚署で20件(前年同期比3件増)、県内全体では768件(同280件増)に及んでいる。警察官を目指す森田さんは「虐待がこんなに身近だとは思わなかった。女子生徒がこれから幸せに暮らしてほしい」と話していた。(小谷千穂)

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