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「しあわせすぎて怖い…」そんなセリフが出たら、過去と決別すべき

一度は口にしてみたい、「幸せ過ぎて怖い」というセリフ。歌の中ではロマンチックですが、現実はもっと切実なようです。メルマガ『予約の取れないカウンセラーが送る“毎日使えるココロの講座”』の著者で、心理カウンセラーの根本裕幸さんは、「幸せが続くとなぜか不安になって、今を楽しめない」というお悩みに対して、的確なアドバイスをしています。

幸せの絶頂のはずなのに、過去のできごとが影響して、今を楽しめないのはなぜ?

昔得られなかったものを今に期待して、そして空回り。結婚生活でも、仕事でも、一人暮らしでも、何でも起こりうるその葛藤。それを解くカギは「過去との決別」ではないかと思っています。

相談内容

根本さん、こんにちは。根本さんの個人セッションやセミナーに参加して、その結果ついに念願の結婚が叶いました。なのに…。結婚して早々にモヤモヤした気持ちと違和感を感じてます。

私の両親は不仲で、喧嘩ばかりでした。
母への不満と悪口ばかりを父から聞いて育ち、「(母は)父にこうしてあげればいいのにな」と子供心に思っていました。
また、共働きだった母は休日は寝てゴロゴロしていることが多く、家事や料理も得意ではなかったです。
姉は結婚してから、結婚や子育ての愚痴を遠慮なく言えるのが私だった為、これもさんざん不満を聞かされ、目の前で姉夫婦に大喧嘩をされたこともありました。

そんなこんなを経て、その後出会った彼と付き合って1年目の記念日に入籍しました。
夫とは私が夢見ていた今後の人生を叶えられそうと思い、同居も経て結婚を決意しました。
ところが、入籍をしてバリバリ働いていた仕事もやめて、幸せなはずなのに無気力で体がだるくてゴロゴロする日が増えました。家事をしないでゴロゴロしていると、父に文句を言われ冷たくされていた母の姿がよぎるので、自分もゴロゴロしててはいけないんだと罪悪感が襲ってきます。

また、両親や姉夫婦のように言い合いをして喧嘩ばかりの夫婦はなりたくないと思い私は言いたいことを我慢する事も多くなり
「この結婚はよかったのかな?焦りすぎたかな?」と不安になり考え込むことが多くなりました。

私は両親から得られなかった愛情を夫に求めているのは自分でも理解しています。
そんな時に夫と話していたら「夫婦でも相手の事を100%理解するのは難しいと思う。僕はいい意味で結婚や夫婦に高い理想はないから、結婚ってこんなものだと思う」と言われ、何だか突き放されたようなとても寂しく、悲しくなりました。

「やっぱりもっと付き合って相手の事をもっと知ってから結婚すればよかったかな?」「このままだと結末は離婚なのかな」「私が結婚に夢見がちで、覚悟が足りなかったのかな?」とかなりパニックになってます。
周りの人から見たら幸せの絶頂のはずなのに、この状況は私のどんなことが引き起こしていて、私に何を気づかせたいが為に起こっているのでしょうか?教えて頂きたいです。
(Nさん)

心理カウンセラー・根本さんの回答

これまでの人生にずっと緊張感があった証拠

要するに、遅れて来たマリッジブルーみたいなものでしょうか。

(中略)例えば、必死に目の前の崖を登り、道なき道を切り拓き、岩場に張り付いて山を登っていたとするでしょう?
そして、開けた場所に出て「ふーっ。ここで一息つくか」とお茶を取り出して眼下に目をやった瞬間、「え?あたし、こんな過酷な山を登って来たの?え?マジ?」ってぞーっとするってシーン、想像できますか?

そして、あそこの断崖絶壁で危うく落ちそうになったシーンや、手を滑らせて滑落しそうになったシーンや、いきなりイノシシが襲ってきて何とか手刀で仕留めたシーンや、熊と対峙して息を飲む緊張感の中で機関銃ぶっ放して事なきを得たシーンなどが回想されるのです。

そして、再び、ぞーっとしてしまうわけです。Nさん、そんな感じじゃないでしょうか?

要するに幸せになってしまったのです。

砂漠をずーっと放浪して来たジプシーがようやくたどり着いたオアシスで、冷えた水を啜っているのです。そして、ふと思うんです。「オアシスってもっと理想郷だと思ってた。意外とショボいな」と。

幸せな未来を過度に期待していなかったか?

まあ、例え話だけで終わるのも色々と解釈が広がって面白いと思いますが、蛇足として具体的なお話もしてきましょうね。

オアシスを求めてさまよっている時って、その行程がしんどいほど、オアシスに理想郷を求めてしまいます

「美味しい水が滾々と湧き出ているんだろうなあ~」
「見たこともない絶品の料理が並んでいるんだろうな~」
「マッチョでイケメンでジェントルマンな男たちが海パンいっちょで私を出迎えてくれるんだろうな~。ハーレム!ハーレム!」

でも、実態はそうでもなくて、水は自分で汲まなきゃいけないし、料理は簡単なものばかりだし、イケメンどこ?ねえ、どこ?ってな感じだし、「え~!約束が違う~!!」って思うものです。

あ、結婚がそんなショボいもんだって言いたいわけじゃなくて、「期待値が大きい分、「現実をそんな風に見てしまうものです。それまでの人生で辛くて嫌な思いをした分だけそうじゃない理想郷を結婚に求めてしまいがちなのです。

私たちは育ってきた家庭や周りの夫婦から自分なりに「幸せな結婚生活というものを定義していきます。両親が不仲で、それで辛い思いをしたのならば、「夫婦は仲良くしなきゃいけない」と思います。愚痴を聞くのが辛かったならば「人に愚痴は言ってはならぬ。その前に自分で行動すべき」と思います。何もせずにゴロゴロしてる姿を醜いと思ったのならば「ゴロゴロしてはならん。常にテキパキと行動しなきゃあかん」と思います。ケンカする夫婦を見て来てそれが嫌だったのならば「ちゃんと相手を尊重して、お互いに気持ちを理解して、ケンカを回避すべきである」と思います。

それは決して間違えではないのですが、辛い思い、嫌な思いをした分だけ、それらは自分を縛る鎖となり、義務となり、自由を失うようになっていきます。

「仲良くするためには自分の言いたいことを我慢しなければならない」「愚痴や不満があっても人に言ってはならない」「ゴロゴロしてはいけない」「きちんと夫婦で気持ちを一致させるべくコミュニケーションを図らねばならない」

そんなルールがリビングにでかでかと貼られていたら窮屈でしょ?

しかも、これらのルールは当然ながら相手にも突き付けられます。「私がそうしてるんだから、あんたも当然そうすべきよね」と。

ホッとしたからこそ過去の出来事が蘇ってくる

人は安心して、ホッとすると、過去のいろんな思いが溢れて来て改めて辛い思いをするものです。

迷子になっていた子どもは、ママの姿を認めた瞬間、安心して号泣します。安心すると、それまで封印してきた気持ちが溢れて出てしまうのです。

Nさんがご主人と結婚して、安心して、幸せを感じた瞬間に、過去の、両親やお姉さん夫婦のいろんなできごとが走馬灯のようによみがえって来るのです。

だから、まあ、Nさんのお話は、惚気話っちゃ、惚気話なんですわね。幸せになったからこそ感じられるものなのです。

今までのエネルギーが行き場を失っている

今までも頑張ってバリバリ仕事して来た名残もありますね。その勢いが習慣(癖)となって残っているので、今もまた何かを頑張ろうとしてしまいます。

それが「より良い夫婦関係を築くためにはどうすべきか?」というテーマを掲示することであり、「過去のデータから良い夫婦関係をするにはこうしたら良い」というルールを策定することであり、「だから、これからはこういう風にしましょ」という提案になるのです。

結婚して、幸せになって、ホッとして、それで今まで散々仕事などに使ってきたエネルギーが行き場を失ってしまって悶々としているんだわね、とも言えますね。

今を生きるのに、過去は関係ない

同じように過去のできごとに束縛されて、今を自由に生きられない事例はたくさんあります。ああなったらどうしよう、こうなったらどうしよう、そんな不安は放っておいてもどんどん出てくるものです。その当時は必死だったために感じられなかった感情が、後追いでやってくるのです。

だから、Nさんにとって大切なことは「現在と過去にきちんと区別をつけること。両親やお姉さん夫婦はそうなっちゃってたけど、じゃ、この旦那さんとそうなっちゃう保証ってどこにもないことを改めて意識してみることです。

すなわち「今を生きる」ということ。

どうしても過去のデータが気になっちゃうでしょう?現実として見てきたものだし、そこで辛い思いをしたのだから。でも、過去を手放せていないと、すでに過ぎ去ったできごとが、今も目の前で展開されているような気がするのです。

過去は過去。今は今。

自分軸を作るときに「私は私、人は人」というアファメーションをよく提案していますが、その時間バージョンですね。

もちろん、彼と父、姉の夫は別人ですよね?そして、当然ながら、私と母、姉は別人ですよね?そこにもきちんと線を引くことが大事です。私は私、母は母、姉は姉、と。

そして、大事なことは、そこから「二人の幸せな関係」を築いていくことです。私、と、ご主人、という素材を使って、どんな美味しい料理が作れるかな?と想像して創造していくことです。

私が好きなこと、楽しいこと、嫌なこと、つまらないこと。
夫が好きなこと、嬉しいこと、嫌いなもの、面白くないもの。

そうしたところで「二人の幸せ」はどのような形なのか?を真っ白いキャンパスに描いていくのです。

ゴロゴロするの、好き?幸せ?じゃあ、それを喜びましょう。そしたら、そういう生活をさせてくれる旦那さんに感謝できるようになるから。旦那さんのどんなところが好き?じゃあ、それを伝えていきましょう。今の幸せを伝えましょう。旦那さんは私にどうしてもらいたいの?それをしてあげたい?じゃあ、してあげましょう。そうじゃなかったら、話し合いをしてみましょう。

キーワードは二人の幸せ過去は関係ないんです。

それは新婚のNさんに言いたいことではなく、夫婦関係を改善したいと思う方、再出発を図る方、皆さんにお伝えしたいことです。

「今を生きる」のです。

今あるものは何?
今自分ができることは何?
今夫ができることは何?
今私がしたいことは何?
今夫がしたいことは何?

ないものではなく、できないこと、したくないことではなく、あるもの、できること、したいことに目を向けていきましょう。

「ここでジャガイモがあったらいいんだけどなあ」って思っても、それを切らしてたら、じゃがいも抜きで美味しい料理を作ろうとするように。

夫婦を楽しみましょ。この二人で何ができるのか?を想像してワクワクしましょ。

image by: shutterstock.com

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【著者】 根本裕幸(心理カウンセラー) 【発行周期】 ほぼ 日刊

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