パスタな国の人々

宮本さやか|イタリア

イタリアがコロナ優等生になった本当のワケ

ローマ・トレヴィの泉前を巡回するマスク姿の警察官。写真:Em Campos/i stock

今、ヨーロッパではコロナウイルスの感染が再び爆発的に拡大している。残念ながらヨーロッパのトップに立ってしったスペインは、9月30日の時点でトータルの感染者数が76万9188人に達した。1日の死者数は380人。マドリッドでは45の市町村で外出規制などが始まっている。

フランスの労働大臣エリザベス・ボルネは「再度ロックダウンのようなことは極力避けるよう全力を尽くす」けど「その可能性も否定できない」とコメントしたとしてニュースになっている。1日の感染者数は9月24日には16,000人を超えた。

イギリスも9月29日の感染者数9,143人となり、ワースト記録だった5月のデータを更新してしまった。EUの保健担当委員ステラ・キリアキデスは、「EUの一部の国では、3月のピーク時よりも状況は悪化してとても心配な状況」とコメントしている。

そんな中、イタリアは学校が始まって戦々恐々としていたのだが、予想を覆して感染者数は増えていかず、毎日1500人前後を推移している。もちろんロックダウン解除後の一日200人程度という数字に比べれば増えてはいるのだが、他の欧米諸国に比べるとかなり低く抑えられている。

それをうけて、数日前に日経が「再度感染が拡大しているヨーロッパで、イタリアは模範生になっている」という記事を出した。私は「よくぞ、書いてくれました!」という気持ちになった。コロナウイルスの感染拡大が始まってから、日本のメデイアが書く「欧米」はいつだってフランス、イギリス、ドイツ、そしてアメリカだけで、たまに悪い例としてスペインやギリシャと一緒にイタリアが出てくる。そういうことがとても多いからだ。考えてみればそういう傾向は、コロナ以前からずっとあったかもしれないけど。

著者プロフィール
宮本さやか

1996年よりイタリア・トリノ在住フードライター・料理家。イタリアと日本の食を取り巻く情報や文化を、「普通の人」の視点から発信。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」でのコロナ現地ルポは大好評を博した。現在は同ブログにて「トリノよいとこ一度はおいで」など連載中。

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