記念大会主役!153キロ大船渡・佐々木朗希/岩手

今年の全国最速153キロをたたき出した大船渡・佐々木(撮影・高橋洋平)

<ピカイチ投手編>

 高校野球特集の第1回は、日刊スポーツ記者が全国の有望投手にスポットを当てる「ピカイチ投手編」。189センチ、81キロの長身右腕、大船渡(岩手)の佐々木朗希投手(2年)は今春県初戦敗退ながら、今年の全国最速となる153キロをたたき出した。50メートル5秒9の快足で1番打者も任されており、同郷岩手の先輩エンゼルス大谷翔平(23)をほうふつとさせる二刀流だ。U18日本代表の第1次候補30人にも入った「大谷2世」が34年ぶりの甲子園を狙う。

 第100回の夏に合わせ、佐々木が彗星(すいせい)のごとく現れた。189センチの長身からしなやかに右腕を振ると、最速153キロの剛球がうなりを上げる。「153キロは通過点。夏に156キロを出して、来年は160キロでプロに行きたい」と豪快に宣言した。

 中学から片りんはあった。186センチもあった中3時点で最速141キロを計測。県内の強豪私学から誘われたが「打倒私立で甲子園に行きたかった」と地元の大船渡に進学した。1年夏の初戦で147キロをマークするも、その後は成長痛に苦しみ「何もしなくても腰が痛かった」と昨秋は公式戦で1球も投げずに終わった。冬の間はストレッチと1日5回の食事で体作りに専念。今春に身長は3センチ増の189センチ、体重は10キロ増の81キロとなった。

 異常な負けず嫌いだ。横浜(南神奈川)の最速152キロ左腕・及川雅貴(2年)を勝手にライバル視している。会ったことすらないが、理由は「及川がU15日本代表で、中学から有名だから」。及川が4月に149キロをマークすると、佐々木も5月の地区大会初登板時に149キロで応戦した。その後153キロをたたき出すと、及川も152キロ。U18日本代表第1次候補30人にはともに名を連ねた。「右と左で違うけど、同世代で意識する。絶対に負けたくない」。携帯の待ち受け画面を及川に設定するほどの執念深さだ。

 狙うは34年ぶり2度目の聖地。「チームを甲子園に導けば、日本代表入りも一緒についてくる」。佐々木の右腕が甲子園切符とともに、日の丸入りまでつかみ取る。【高橋洋平】

 ◆佐々木朗希(ささき・ろうき)2001年(平13)11月3日生まれ、岩手・陸前高田市出身。高田小3年から野球を始め、11年の東日本大震災で被災。大船渡では1年夏からベンチ入り。今春の地区、県大会の背番号は20。189センチ、81キロ。右投げ右打ち。家族は母と兄、弟。