中日大野雄大投手(32)が17日、合同自主トレ中の沖縄で小笠原慎之介投手(23)に過去との決別をアドバイスした。

大野雄 ゼロから、地べたからやって欲しい。今までの成績も全部忘れて。自分も同じような経験をした。

昨季、2年連続最優秀防御率に加え、最多奪三振に沢村賞まで獲得。投手の頂点に上り詰めた。しかし、3年前の18年は6試合に先発し0勝3敗。どん底から這い上がった経験から小笠原に言葉をかけた。

新型コロナ禍で、大野雄は1度は小笠原の沖縄帯同を断った。

小笠原 ここでいっしょにやらないと僕の野球人生が終わる。何回断られようがお願いするつもりだった。それなりの覚悟です。

甲子園V左腕の鳴り物入りで15年ドラフト1位で入団。18年には球団史上最年少で開幕投手を務めた。しかしプロの壁に苦しみシーズン最多は5勝止まり。昨季は1勝で5年目のシーズンを終えた。自ら正念場を自認し、エースに救いの手を求めた。

この日、ブルペンで投げる小笠原の球に大野雄は目を細めた。2日前の15日に右打者の外角へシュートして抜ける球の修正を指示。小笠原が投じた約40球はホームベースの上を外れなかった。

大野雄 本当にすごい。たいしたもの。(抜け球の修正は)言ってもできない。このままやっていけば成果は出る。

規定投球回のクリアを目標として設定させた「弟子」の素質の高さを再確認した。

小笠原 まだ(沖縄入りして)4日だけしかたっていないが、お願いして良かった。全部、いいところを吸収します。(規定投球回は)ずっと常に目標として持っていた。何としてでも今年は達成したい。

プロの辛酸を知るエースが、眠れる若竜の今季に光を与えた。