白鵬「ビール瓶ではない」暴行はカラオケリモコンか

羽田空港に到着した日馬富士は警察官にガードされながら出口に向かう(撮影・滝沢徹郎)

 横綱日馬富士の平幕の貴ノ岩への暴行問題について、現場にいた横綱白鵬(32=宮城野)が九州場所5日目の16日、当時の状況を明かした。日馬富士はビール瓶で殴っていないこと、当事者同士は和解していることなどを指摘した。日馬富士は今日17日、東京で鳥取県警から任意で事情聴取されることも分かった。

 白鵬がついに口を開いた。朝稽古後と取組後、10月25日から26日未明にかけて鳥取市で起きた日馬富士の暴行について語った。

 まず初めに「私がその場にいたわけですし、相撲界、世間に本当に申し訳ない思いでいっぱいです」と謝罪。そして、日馬富士がビール瓶で貴ノ岩の頭を殴打したと報道されていることについて「報道されているような、ビール瓶では殴っておりません。私はその場で見た。事実です」と話した。

 白鵬によれば、日馬富士がビール瓶を持ったが「水(水滴)がいっぱい出てて滑り落ちた」。そして「すぐに止めに入って部屋から出した。物を持ったら危ないので」と日馬富士の頭を冷やさせた。また馬乗りになって暴行したことについても「事実じゃない」と否定した。

 別の関係者によれば、素手で殴った際は握り拳ではなく平手で10発程度、殴打の時に使用した物はカラオケのリモコンだったという。白鵬は「実際に手を出したのは事実。これはやってはいけない」と暴力行為は批判した。一方、ビール瓶で暴行したと話す同席者もおり、酒席での混乱もあいまって証言に食い違いも出ている。

 もともと、生活態度を注意されていた貴ノ岩が、その場でスマートフォンを操作していたことが発端となり、激怒した日馬富士の暴行につながった。白鵬によれば「その場で貴ノ岩関が日馬富士に謝った」。26日の鳥取巡業の支度部屋では、貴ノ岩が日馬富士の元に行き「昨日はすいませんでした。しっかり言ってくれる兄弟子がいてくれて感謝しています」と謝罪して握手。この場面は、白鵬ら多くの力士が目撃した。

 両者は和解したはずだが、貴ノ岩の師匠の貴乃花親方(元横綱)は、その3日後に被害届を提出し、今月3日の協会からの聴取には「分からない」と答えている。九州場所前に休場届が出たが、診断書は2日目に公表されるなど、不可解な点も多い。

 捜査関係者によると、貴ノ岩は既に鳥取県警から事情を聴かれていることが判明。日馬富士はこの日、福岡を離れて空路、帰京した。今日17日、県警から任意で聴取を受ける。

 ◆日馬富士の暴行問題経緯 10月26日未明、鳥取市内での酒席で貴ノ岩に怒りを爆発させた。何度も頭部を殴ったとされ、13日に公表された診断書は「脳振とう、左前頭部裂傷、右外耳道炎、右中頭蓋底骨折、髄液漏の疑い」だった。