炎鵬白星「苦労かけてきた」懸賞金手渡し観戦母も涙

徳勝龍(右)に土俵際へ追い込まれた炎鵬は素早く体を入れ替えて優位な体勢に持ち込む(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇初日◇12日◇両国国技館

平成以降4人目の100キロ未満の新入幕となった西前頭14枚目炎鵬(24=宮城野)が白星発進。

母の日に母由美子さん(57)に贈る懸賞をもぎ取った。167センチ、99キロの体で、185キロの徳勝龍の右腰に張り付いた。腰をグッと落として寄り切った。

新入幕の土俵を「歓声は今までの倍以上。(1度の待ったの前まで)全然周りが見えませんでした」と振り返り、この日にかけた、ある決意を明かした。

「令和初めての本場所の新入幕の初日で母の日。お母さんが見に来てたんで、だから勝ちたいとも思ってました。ずっと苦労をかけてきましたから」。これまでも何度か応援に来てくれた。しかし、事前連絡があって来たのは初めて。帰り際、会場外で父進さん(62)兄文哉さん(26)らと一緒にいた母に懸賞を手渡した。「もう感動しました。隣にいた人が大泣きして、私も泣いちゃった」という母をもう1度感動させた。

白鵬の休場で、先輩の石浦とともに露払い、太刀持ちを務める横綱土俵入りはお預けとなった。「土俵入りは夢です。大勝ちか大負けか、僕の人生を左右する場所と思います」。易々と黒星を重ね、十両に落ちる訳にはいかない。

相撲では小よく大を制す醍醐味(だいごみ)を見せる。しかも男前の孝行息子-。新ヒーローが、新時代の始まりを彩った。